bluesoyaji’s blog

定年後の趣味、大学入試問題の分析、国語の勉強方法、化石採集、鉱物採集、文学、読書、音楽など。高校生や受験生のみなさん、シニア世代で趣味をお探しのみなさんのお役に立てばうれしいです。

国語教師が薦める現代文参考書ベスト3 その1

 

新・田村の現代文講義  代ゼミ方式1

評論編

田村秀行  代々木ライブラリー


現代文には、客観的な解法があるということを最初に説明した参考書として画期的だった。

あくまで本文の客観的読解と分析をすること、設問の意図をくみ取り、選択肢を見極めること、自分の意見や感想は頭から追い出すこと。
これらを知らずに、現代文は日本語だから簡単だとか、読書すれば解けるようになるとか、フィーリングで解けるとかいろいろいう人がいるが、すべて間違いである。
まず本文を読む。その後、設問を読む。この基本を理解しよう。


田村先生は、設問を先に読んでしまうと、設問作成者の意図が先に頭に入り、本文執筆者つまり作者、筆者の意図が正確に読みとれないと言う。
そのとおりだ。


この「現代文講義」がでた後、すぐに「例の方法」という参考書が出たので読んで比べてみた。こちらの本は、先に設問を読むことで、本文を読まなくても正解が導き出せるというトンデモナイことを書いてあって、驚いた。
大学に入ってからも必要な読解力を身につけることを完全に無視して、受験で点取ればよいという考えなのが残念だ。

 

田村先生の言うとおりに本文をまずしっかり読む。その時に、重要だと思う部分にペンで線を引くという作業をする。接続語をマルで囲む。目だけでなく、手で読む作業を伴う。これが必須だ。
最初はどこに線を引けばいいかわからないが、何度も繰り返し出てくるキーワードや筆者の主張、意見が書かれている部分など、大事そうだと思う部分に線を引く。これは、数をこなして慣れることが必要だ。


現代文が苦手という人はほとんど、目印を本文に付けるという作業をやっていない。後で設問を見て考えるときに、本文に目印がないと、また最初から読み直さなければいけなくなり、時間の無駄だ。線を引いた部分を中心に前後を見て、設問の解答の根拠を探す作業をする。これが入試現代文に求められる知的作業だ。

 

現代文が苦手な人は、この作業を勘だけでやっている。一回読んだ記憶の中だけで、目印なしで探すのだから、大変だ。

設問の選択肢は、この本文の根拠を言い換えてあったり、短縮してあったりしているものが正解になる。


センター試験はあと数年でなくなるが、マーク式問題は私大を中心に、無くなることはないだろうから、田村先生の説く、選択肢の見分け方をマスターしておくことは絶対必要だ。
細かいことは「現代文講義」を読んで学んで欲しい。大事なことは、田村方式を身につけると、応用が利き、どんな内容の文章であっても、ある程度の点が取れるようになると言うこと。つまり、安定した国語得点が見込めるようになる。この安心感は大きい。


今年2017年のセンター試験でも、国語の平均点が、昨年度より20点ほど低くなったと報じられた。国語が得意な上位層は影響がないが、やや不得意な人は、影響をもろに受けてこの20点ほどに泣いたのではないだろうか。特に理系の人たち。20点少々と言えば、難易度ランクで2ランクぐらい下がってしまう。出願先の変更を余儀なくされてしまう。これは気の毒だ。


これから受験を控えている方は、田村の「現代文講義」をマスターして、ゆらぎのない安定した読解力を身につけて、志望校に合格して欲しい。

 

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