bluesoyaji’s blog

定年後の趣味、大学入試問題の分析、国語の勉強方法、化石採集、鉱物採集、文学、読書、音楽など。高校生や受験生のみなさん、シニア世代で趣味をお探しのみなさんのお役に立てばうれしいです。

「石ふしぎ大発見展 第23回大阪ショー」の「宮沢賢治の鉱物・元素の世界」桜井弘先生の講演に触発されました

 

以前の記事に、「石ふしぎ大発見展 第23回大阪ショー」の「宮沢賢治の鉱物・元素の世界」桜井弘先生の講演の感想を書きました。

 

bluesoyaji.hatenablog.com

 

その講演の内容がとても面白かったので、私も触発されて、宮沢賢治の作品の中から、岩石、鉱物、化石に関する記述を探してみました。

 

利用したのは、kindleの電子書籍です。ちょうどAmazonで、安く販売していたので購入しました。

 

kindle『宮沢賢治全集・283作品⇒1冊』【直筆水彩画・関連作品つき】
宮沢 賢治

 

その中から、一部を紹介します。

 

位置No.は、kindleで利用できる検索の番号です。これがかなり便利で、よく使っています。kindleを持っている方は、このデータで確認してください。

 

 

 

秋田街道
位置No. 244
安山岩柱状節理、安山岩の板状節理。 


あけがた
位置No. 317
その手前はうららかな孔雀石の馬蹄形の淵になってゐた。


或る農学生の日誌
位置No. 557
斉藤先生が先に立って女学校の裏で洪積層第三紀の泥岩の露出を見てそれからだんだん土性を調べながら小船渡の北上の岸へ行った。河へ出ている広い泥岩の露出で奇体なギザギザのあるくるみの化石だの赤い高師小僧だのたくさん拾った。
位置No. 927
それからは洪積層が旧天王の安山集塊岩の丘つづきのにも被さっているかがいちばんの疑問だったけれどもぼくたちは集塊岩のいくつもの露頭を丘の頂部近くで見附けた。
位置No. 959
午后一時に約束の通り各班が猿ヶ石川の岸にあるきれいな安山集塊岩の露出のところに集った。
位置No. 970
しばらくやすんでから、こんどはみんなで先生について川の北の花崗岩だの三紀の泥岩だのまではいった込んだ地質や土性のところを教わってあるいた。

イギリス海岸
位置No. 1138
イギリス海岸には、青白い凝灰質の泥岩が、川に沿ってずゐぶん広く露出し、
位置No. 1152
どうしてもその白い泥岩層をイギリス海岸と呼びたかったのです。
位置No. 1162
第二に、この泥岩は、粘土と火山灰とまじったもので、しかもその大部分は静かな水の中で沈んだものなことは明らかでした。たとへばその岩には沈んでできた縞のあること、木の枝や茎のかけらの埋もれてゐること、ところどころにいろいろな沼地に生える植物が、もうよほど炭化してはさまってゐること、また山の近くには細かい砂利のあること、殊に北上山地のヘりには所々この泥岩層の間に砂丘の痕らしいものがはさまってゐることなどでした。さうして見ると、いま北上の平原になってゐる所は、一度は細長い幅三里ばかりの大きなたまり水だったのです。ところが、第三に、そのたまり水が塩からかった証拠もあったのです。それはやはり北上山地のへりの赤砂利から、牡蠣や何か、半鹹のところにでなければ住まない介殻の化石が出ました。
位置No. 1188
ところがどうも仕方ないことは、私たちのイギリス海岸では、川の水からよほどはなれた処に、半分石炭に変った大きな木の根株が、その根を泥岩の中に張り、そのみきと枝を軽石の火山礫層に圧し潰されて、ぞろっとならんでゐました。
位置No. 1250
また、赤い酸化鉄の沈んだ岩の裂け目に沿って、層がずうっと溝になって窪んだところもありました。
位置No. 1367
白い火山灰層のひとところが、平らに水で剥がされて、浅い幅の広い谷のやうになってゐましたが、その底に二つづつ蹄の痕のある大さ五寸ばかりの足あとが、幾つか続いたりぐるっとまはったり、大きいのや小さいのや、実にめちゃくちゃについてゐるではありませんか。その中には薄く酸化鉄が沈澱してあたりの岩から実にはっきりしてゐました。たしかに足痕が泥につくや否や、火山灰がやって来てそれをそのまゝ 保存したのです。

 

泉ある家
位置No. 1739
これが今日のおしまいだろう、と云いながら斉田は青じろい薄明の流れはじめた県道に立って崖に露出した石英斑岩から 一かけの標本をとって新聞紙に包んだ。
位置No. 1872
ひるの青金の黄銅鉱方解石柘榴石のまじった粗鉱の堆を考えながら富沢は云った。

 

作品の中に描かれている地学巡検や地質調査のエピソードが興味深い。賢治は、理系であったことがよくわかります。

 

岩石、鉱物、化石が賢治の文学作品の中で、どのように使われているかを探っていきたいと思います。