北海道大学 2020年 前期 国語 第1問 中屋敷均 『科学と非科学 その正体を知る』
形式段落の要旨をまとめました。通し番号は形式段落のものです。
1科学と生命は似ているー現在の姿から発展・展開させていく性質を内包する点
過去の蓄積を記録する仕組みを持つ
変化したバリエーションを生み出す能力が内在している
2科学の歴史―たくさんの間違いが発見され消えていった
3誤り、つまり現実を説明していない仮説の提出は日常茶飯事
4適応度の高い仮説は批判に耐え後世に残る
その適応度をさらに上げる修正仮説が提出される
生物の「適者生存」のよう
↓
科学は、変化し、より適応したものが残り、成長、進化していく
5科学の知見は不動の真理ではない、常に不完全
6正しいか正しくないがあるのではなく、どれくらい確からしいかという確度の問題が存在するだけ
7原理的に不完全な科学的知見をどう使うか
確からしさに対して正しい認識を持つべきだ
8確からしさを正確に把握し峻別する
9医学―指標化の試みー調査の規模や方法、分析手法で順位付け
10しかし、専門家でも意見が分かれることを非専門家が理解し判断することは現実的に相当困難
11権威主義―権威の高さと情報の確度を同一視して判断するやり方
現在、この方法が主である
12専門家の意見は参考にすべき
権威主義による判断もわかりやすく役に立つならそれで十分
13しかし、どこか拭い難い危うさー人の心の持つ弱点と関連
権威にすがり安心してしまいたい、何かを信じて不安から逃れてしまいたい
解答例は河合塾、駿台、代ゼミのホームページにあります
https://kaisoku.kawai-juku.ac.jp/nyushi/honshi/20/ho1-31a.pdf
本文の特徴は
・論旨が明確
・接続語を適切に使用
・極力、専門用語を使っていない
これらの点から、国公立大学の二次試験、記述問題の入門としてとてもよい問題だと思います。
入門といっても簡単ではありません。
本文の読解力と指定された字数で解答をまとめる力が必要です。
来年度から始まる共通テストも、こんな良い文章を出題してほしいと思います。
中身のない契約書やパンフレットなどの組み合わせ問題は、国語力もつかず、おもしろくもないのでやめてほしいですね。
余談ですが、問題訂正があります。
本文の「生態系」を誤って「生熊系」と表記していたようです。
ギャグかと思いました。
「熊」が「生態」する北海道ならではのご愛敬でしょうか。