宮沢賢治の妹シゲが賢治を描いた回想録を残していたそうです。
本日(2017年12月1日)の読売新聞に記事が出ていました。
賢治と言えば、「永訣の朝」。
高校の現代文の教科書では定番の教材です。
全国の高校生数十万人が読んでいるはず。
これを授業でやると、生徒は「シュン」としてしまいます。
さて、記事を読んで驚いたことがあります。
「永訣の朝」で妹トシが危篤状態で、賢治がみぞれをとりに外へ出た時、もう一人の妹シゲが同行し、傘を差しだしていたという記述です。
あの松の葉に積もる雨雪を取ってくるシーンがリアルに思い浮かんできます。
妹トシは、兄賢治に、「最期に妹のためにいいことをしてあげられた」という思いを残すため、雨雪を取ってきてと頼みます。
このあたりは、現代っ子の高校生の心にも触れるようです。
トシが「今度は自分のことばかりで苦しまないように生まれてれてくる」と言うと、父親が、賢治らに「法華経のお題目を唱えて助けてあげなさい」と言ったという記述があるそうです。
父と賢治は、信仰の違いを巡って対立していたのはよく知られている話です。賢治とトシは熱心な法華経の信者でした。
詩の結びは、賢治の祈りです。
どうかこれが天上のアイスクリームになって
おまへとみんなとに聖い資糧をもたらすやうに
わたくしのすべてのさいはひをかけてねがふ
実際には、父のこんな言葉があったのかと思うと、より宗教的な気持ちを想像させられました。