bluesoyaji’s blog

定年後の趣味、大学入試問題の分析、国語の勉強方法、化石採集、鉱物採集、文学、読書、音楽など。高校生や受験生のみなさん、シニア世代で趣味をお探しのみなさんのお役に立てばうれしいです。

共通テスト国語 第2問小説を国語教師が解いて考えた

共通テスト国語 第2問小説 「庭の男」黒井千次

f:id:bluesoyaji:20220209191054j:image
f:id:bluesoyaji:20220209191058j:image
f:id:bluesoyaji:20220209191102j:image
f:id:bluesoyaji:20220209191038j:image
f:id:bluesoyaji:20220209191025j:image
f:id:bluesoyaji:20220209191050j:image
f:id:bluesoyaji:20220209191029j:image
f:id:bluesoyaji:20220209191042j:image
f:id:bluesoyaji:20220209191034j:image
f:id:bluesoyaji:20220209191046j:image
f:id:bluesoyaji:20220209191106j:image
f:id:bluesoyaji:20220209191021j:image

前書き

隣家の庭のプレハブ小屋に、男が描かれた看板が立ち、それが気になり始めた「私」

案山子をどけてくれと頼んでいる雀のようだと自身を感じる

 

特異な設定なので、前書きをしっかり確認しておきましょう。

 

形式段落のポイント

1・裏の家の息子に頼んでみたらー妻の示唆 私の側に立ってくれたことに救われ、気持ちが楽になった

・お前は案山子ではないかと言ってやる僅かなゆとりが生まれる

2・しかし所詮空威張りに過ぎぬーそんな焦り

・前にもまして凝視して止まない、男の視線の気配を覚える

・確かめるまで落ち着けない

3・隣に電話をかけ親に看板をどうにかしてもらうという手段

・フェアではないし、親を納得させる自信がない

・除去してくれたとしても、頭のおかしな人間と噂を立てられるのは恐ろしい

4・ある夕暮れ、散歩に出ると隣の少年を見かけ、彼の前に立つ

・少年は怯えた表情で立ち止まり、頭だけ下げ通り過ぎようとした

・「映画の看板かい」―警戒の色

・「素敵な絵、あのオジサンを横に移すか裏返しにするか」

・肩をそびやかす身振りで歩き出そう

・「待ってくれよ、頼んでいるんだから」

・振り返る相手の顔は無表情に近かった

・「もしもさー」

・私を振り切って離れていく

・「ジジイー」

5・吐き捨てるように俯いたまま低く叫ぶ声

・私は立ったまま見送る

6・礼を尽くして頼んでいるつもり

・中学生の餓鬼に無視され、罵られた

・身体の底を殴られたような厭な痛み

・こちらの申し入れが理不尽で、相手の反応は無理もないと考えてみた

・それなら申し入れを拒絶すればよかった、その方が私もまだ救われた

7・無視と捨て台詞に似た罵言は耐え難い

8・妻が寝室に引込んだ後、隣家の庭を窺った

・懐中電灯を灯すと男の顔は昼間より一層生々しい

・「馬鹿奴」―男か、少年か、自分かわからない

・玄関を出た

9・隣の家の裏の庭へ踏み込む

10・目指す小屋の横に出た

11・男はただの板―これではあの餓鬼に言うことが通じなかったとしても無理はない

12・しかし、板に触れると硬質のプラスティックに似た物体、断面は分厚く、裏に金属の補強材、土に埋められても腐ることのないしたたかな男だった

13・持ち合えようとしたが、太い針金でしっかり結ばれていて動かすことを諦めた

・少年の覚悟を認めてやりたい気分がよぎる

 

問1 「~彼の前に立っていた」とあるが、「私」をそのような行動に駆り立てた要因は

適当なものを二つ選ぶ。これを見落とさないようにしましょう。

1少年にどんな疑惑が芽生えるか想像し恐ろしく思っていたが×

2「少年の頭越しのそんな手段はフェアではない」と3段にあるので、これが〇

3「所詮空威張りに過ぎぬ」と2段にあるので×

4私の心理状態の説明として2段にあるが、駆り立てた要因とまでは言えないので×

5「アンバランスな組み合わせがおかしかった」と4段にあるので、「いぶかしく感じていた」が×

6「少年にどう説明すればよいのか見当もつかない」と1段にあるのでこれが〇

 

3,4の選択肢のように、本文に書かれてある内容と同じものは、設問の要求にあてはまるかどうかの判断が必要になり、まぎらわしい。

 

問2 「身体の底を殴られたような厭な痛み」とはどのようなものか

6段から「ひどく後味の悪い夕刻の出来事」「一応礼を尽くして頼んでいるつもり」「それを無視され、罵られたのは身に応えた」

7段から「無視と捨て台詞にも似た罵言~やはり耐え難かった」

これが「私」の心情

1が〇

2「妻にも言えないほどの汚点だと捉えたことによる、深い孤独と屈辱感」が×

3「説得できると見込んでいた歳若い相手」が×

4「少年を増長させてしまった一連の流れ」が×

5「妻の言葉を真に受け」が×

 

2がまぎらわしいので注意

 

問3 「あ奴はあ奴で~よぎった」における「私」の心情

1「共感を覚えたことで、彼を見直したいような気持ち」が×

2「陰ながら応援したいような新たな感情」が×

3「少年が何らかの決意」「その心構えについては受け止めたいような思い」がCの説明になっているので〇

4「受け入れてしまったほうが気が楽になる」が×

5「多少なら歩み寄ってもよいという考え」が×

 

問4 ⅰ少年を示す表現に表れる「私」の心情は

少年に言及した表現を抜き出すと、

裏の家の息子、中学生かそこらの少年、少年、君、相手、彼、中学生の餓鬼、あの餓鬼、あ奴

1「我が子に向けるような親しみ」が×

2「君」「中学生の餓鬼」「あの餓鬼」とあるのでこれが〇

3「つねに『君』と呼んで尊重」が×

4「彼の若さをうらやんでいる」が×

5「彼の年頃を外見から判断」が×

 

ⅱ看板の絵に対する「私」の様子や心情

1「映画の看板」「素敵な絵」「あのオジサン」と変遷しているのでこれが〇

2「プライドを捨てて卑屈に振るまう様子」が×

3「態度を都合よく変えている様子」が×

4「親しみを込めながら『あのオジサン』と呼び直し」「慌てふためいている様子」が×

 

問5 新傾向問題で、ノート部の内容把握が求められます。

ⅰ XとYに入る組み合わせ

X―家の窓から見ていた時の私―「男」を恐れるーアが適切

Y―看板に近づいた時の私―窓から見える男が同一人物とは到底信じがたい、苦笑したー怖くない、みかけだおしーウが適切

したがって、1が〇

 

ⅱ「私」の看板に対する認識の変化や心情

1「大人げなさを感じている」が×

2「自分に危害を加えるようなものではないと理解していた」が×

3「怖さを克服しえた自分に自信を持つことができた」が×

4「心を乱されていた自分に哀れみを感じている」が×

5「自分に滑稽さを感じ」が「苦笑した」と対応しているのでこれが〇

 

まとめ

受験生に中年男性のやや神経症的な心情を読ませ、理解させることに、どんな意味があるのだろうか疑問だ。心情、描写を深く味わえる小説は他にいくらでもあるだろうに。

もっと人生の深いテーマにより添う小説を読ませた方がいいのではないか。単に情報処理能力を問う出題に陥ってないか。

受験生の何人かは、この問題の出題者に対し、「〇〇ジジイ」と内心で叫んだかも知れない。