人生でやり残していることは何かと考えたとき、読み終えていない長編小説があるのを思い出しました。
退職後にフリーの時間ができて、それを潰すのにスマホばかり眺めていました。気は紛れても満たされなくなってきました。
そこで、長編小説「失われた時を求めて」の読了をめざし、少しずつ読んだ部分の感想などを記事に書いていこうと思います。
同じように読みあぐねている人の参考になればうれしいです。
読書を通じて変わっていく自分を楽しむことーこれが最大の目標です。

使用するテキストは文庫本3種類の候補から選びます。
1、光文社古典新訳文庫 高遠弘美訳
2、集英社文庫 鈴木道彦訳
3、岩波文庫 吉川一義訳
3冊ともずっと手元にあり、読んでは置き読んでは置きしてきたものです。
今回は次の基準でどれか一つに絞ります。
・訳文が日本語としてわかりやすいか
・文学的な魅力を伝えているか
飽きずに読み続けられるか、私の好みに合う本を選びたいと思います。
では、中身を見ていきましょう。
冒頭の1段 書き出しです
番号は上記のそれぞれの文庫の番号に対応しています。
1、長い間、私はまだ早い時間から床に就いた。
2、長いあいだ、私は早く寝るのだった。
3、長いこと私は早めに寝むことにしていた。
私の好みは3です。
読点がないのと「早めに寝む」という言い回しがわかりやすい。
「床に就いた」は古いし、「寝るのだった」は少し大げさな感じがしました。
「寝む」の漢字に「やすむ」とルビを振っているのは読めない場合への気配りでしょう。
冒頭の一文に続く部分は、「枕草子」の「春はあけぼの」のように思いつきを列挙した内容です。論理的につながるものではありません。
2段 夜中の12時 旅行中の病人の不安について
3段 入眠と巻き毛を切られた記憶
4段 エロチックな夢を見る場面
ここでどれが一番しっくりくるか検討してみましょう。
1、〜腿から、女がひとり生まれ出ることがあった。
2、腿から一人の女が生まれることがあった
3、股から〜生まれたように、ひとりの女が生まれることがあった。
1と3は読点あり。2は無し。
段落の結末を比べます。
1、〜女をいつしか忘れているのだ。
2、夢の娘を忘れているのだった。
3、夢に出てきた娘のことはもう忘れている。
2と3は女が娘に変わっていて好ましいです。
2か3か、他の部分では、
2、「私の頬はまだ彼女の口づけで熱く燃え、肉体は彼女の身体の重みでくたくたになっている」
3、「私の頬はいまだ女の接吻にほてり、身体は女の胴体の重みでぐったりしていた」
3の「接吻」「女の胴体」がひっかかります。言葉が固く感じました。
一方、2の「口づけ」「彼女の身体」の方はすっと頭に入ってきました。
結論
2の集英社 鈴木道彦役が自分の好みの文章だと思われるので、今回の読了挑戦は鈴木訳にします。
完走できたら次は吉川訳、高遠訳も読んで比べてみたいです(まずは読了せよ)