21世紀の感染症と文明 山崎正和 を読んで考えた
第3章です。
半世紀の公徳心向上の成果
18「緊急事態宣言」後の日本人は、外出自粛や自主休業など、その自制心は特記に値する。企業の在宅勤務や零細自営業者の休業も自ら行われている。
19日本人の良識と自制心は、長い歴史を持つ。公徳心は東京オリンピックを迎える1960年代前半、行政の努力によって街からゴミが消えた。
20日本人の社会感覚が変わり、美と倫理の基準が芽生え直したのは1970年代初めである。「モーレツからビューティフルへ」という標語を実現するものになった。
21経済成長の内容は、量産一点張りからデザインやコンセプト重視へと移った。商品デザインの多様化が進み、文化産業への傾倒が強まった。
22身辺を美しくすることに関心が移るとともに、行いを美しくするようになった。その頂点として、ボランティア活動が不動の風習となったのが一九九五年一月である。
感想
1960年以降の日本人の意識の変容が書かれています。
私は1960年代生まれなので、この記述内容にあるとおり、社会の変化を実感してきました。
この半世紀でずいぶん日本人の公徳心も向上したことがわかります。
その頂点が、阪神淡路大震災のボランティア活動であるという総括は、的確です。
山崎先生の記述内容からは離れますが、国の行政、政治家の働く姿勢という面から見ると、向上というよりも、むしろ、劣化が目につくように思います。
特に今回のコロナ危機に対する政府の取り組みは、多くの国民が不満と不安を抱いています。
国民の公徳心は向上した、そのおかげも有り、コロナの蔓延は防いでいるように思える。
しかし、その一方で国は、政治は、公徳心を発揮して、本来の目的を果たせているのだろうか…
こういったもやもや感がぬぐえません。

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