bluesoyaji’s blog

大学入試問題の分析、国語の勉強方法、受験勉強、化石採集、鉱物採集、文学、読書、音楽などについて書いています。少しでも高校生や受験生のみなさん、シニア世代で定年後の趣味をお探しのみなさんのお役に立てばうれしいです。

水井鉱山(すいいこうざん)で辰砂(しんしゃ)を探す 徳島県の石 水銀の原料となった辰砂を発見か

水井鉱山は、辰砂が採れました。水銀になる鉱物です。

f:id:bluesoyaji:20200327181046j:image

那賀川沿いにあり、上流には丹生谷(にうだに)と呼ばれる地域があります。

f:id:bluesoyaji:20200327181134j:image

丹は水銀のことで、丹生は水銀が採れる地についた名前だそうです。

水井鉱山のすぐ近くには、若杉山遺跡という古代から辰砂を採掘していた場所があります。

f:id:bluesoyaji:20200327181255j:image

採集には2回訪れましたが、急勾配の斜面を登り、それらしき抗口を探してもなかなか見つけることができませんでした。

大雨の後だったので細い山道を大きな倒木が塞いでいました。

見通しのきかない山の中でどこを探していいのかわからなくて、急な沢を登ったり下ったりします。

f:id:bluesoyaji:20200327181545j:image
f:id:bluesoyaji:20200327181550j:image
f:id:bluesoyaji:20200327181538j:image
f:id:bluesoyaji:20200327181535j:image
f:id:bluesoyaji:20200327181542j:image

小さな石灰岩は、大量に落ちているのですが、朱色の辰砂が付いた石は見つかりません。

下ってきて、側溝のようなところで写真の石を見つけました。

f:id:bluesoyaji:20200327181324j:image

f:id:bluesoyaji:20200327181408j:image

f:id:bluesoyaji:20200327183358j:image
f:id:bluesoyaji:20200327183404j:image
f:id:bluesoyaji:20200327183305j:image

微細な朱色が表面に付着しています。

 

これが辰砂でしょうか。自信はありません。

初心者には難易度の高い採集でした。

高越鉱山で見つけた石 初心者の私には、いろいろありすぎて、どれを探せばいいのかわからなかった 徳島県の石 #鉱物採集

高越鉱山のズリ(廃石) 奥野井谷川の河原で見つけた石 

 

個性的な石がいろいろ見つかります。

f:id:bluesoyaji:20200325192952j:image

 

高越鉱山


かつては本県最大の金属鉱山で最盛時は従業員3000人以上であった。
徳島県地学図鑑
徳島新聞社より引用

 

本坑跡の近く、奥野井トンネルの手前で川床に降ります。


初めて行った時は、雑木が生い茂って踏み跡も分からず、垂直に降りたため、河原に滑り落ちて、怪我をしそうになりました。


一人で行くのは危険です。

 

河原には赤茶けた鉱石があちこちに転がっています。

f:id:bluesoyaji:20200325193020j:image

目が慣れるまでは何を探せばいいのかわからなくて、途方に暮れてしまいました。

f:id:bluesoyaji:20200325193038j:image

f:id:bluesoyaji:20200325193059j:image

f:id:bluesoyaji:20200325193524j:image

f:id:bluesoyaji:20200325193857j:image

f:id:bluesoyaji:20200325193135j:image

紅簾石片岩や藍閃石片岩、点紋塩基性片岩、緑簾石、キースラガーなどが見られました。

f:id:bluesoyaji:20200325193612j:image

f:id:bluesoyaji:20200325193801j:image

ガラス質の緑簾石

f:id:bluesoyaji:20200325193419j:image

キースラガー

f:id:bluesoyaji:20200325193728j:image

紅簾石

f:id:bluesoyaji:20200325193826j:image

f:id:bluesoyaji:20200325194006j:image

点紋や小さな黄鉄鉱が美しい

 

鉱物採集を始めた頃、何度か足を運んだ高越山。

久しぶりに石を眺めて、懐かしく思い出しました。

土須鉱山のマンガン鉱石 #徳島県の石 #ドスライト 好きが高じて耐水サンドペーパーで磨くと、抽象画のような美しい世界が現れた

土須鉱山のマンガン鉱

 

神山町と木沢村との境界近く、現在の雲早トンネルのある峠の東側の峠を土須峠と言ったが、その近く木沢村側に鉱山があった。
徳島県地学図鑑
徳島新聞社より引用

 

岳人の森「観月茶屋」で食事をして、さらに山道を上り、トンネルを超えると、道端に産地がありました。

 

土の中から黒い塊りを掘り出して割ると、ピンク色の鉱石が現れます。

茶色は、かつてドスライトと呼ばれたもの(たぶん)

f:id:bluesoyaji:20200324232514j:image

耐水サンドペーパーで、手が疲れるほど磨くと、抽象画のような模様が出てきました。

f:id:bluesoyaji:20200324232537j:image

f:id:bluesoyaji:20200324232616j:image

f:id:bluesoyaji:20200324232639j:image

f:id:bluesoyaji:20200324232657j:image

f:id:bluesoyaji:20200324232725j:image

薄汚れた鉱石が、魅力的な置き物に変化しました。

f:id:bluesoyaji:20200324232755j:image

自己満足の世界ですが、手をかけるほど石への愛着が増します。

藍閃石(らんせんせき)エクロジャイト 徳島県の石 藍色の地肌に赤褐色のざくろ石が散らばる様が魅力的

藍閃石(らんせんせき)エクロジャイト

 

地味だが妙に惹かれる石です。

f:id:bluesoyaji:20200322113901j:image

藍閃石は徳島市の眉山でも見つかりますが、この藍閃石エクロジャイトは、高越山(こうつさん)の高越鉱山付近の奥野井谷川で拾ったもの。

f:id:bluesoyaji:20200322113926j:image

薄い藍色の地に、赤褐色のざくろ石がちりばめられています。

外見は目立ちませんが、渋みのある、味わい深い石だと思っています。

f:id:bluesoyaji:20200322114210j:image

一時、エクロジャイトの魅力にはまり、いろいろ購入したことがあります。

ノルウェー産のものが有名ですが、国内では愛媛県のものがよく知られています。

 

f:id:bluesoyaji:20200322114231j:image

これは愛媛県土居町関川のもの

f:id:bluesoyaji:20200322114300j:image

 

 

エクロジャイトは、地下数十キロの高圧下で生成されたそうです。

稀少性もこの石の魅力の一つかもしれません。

f:id:bluesoyaji:20200322114403j:image

緑簾石?の緑色の脈が折り畳まれています

 

 

 

キースラガー kieslager (層状含銅硫化鉄鉱)徳島県の石 神山町 広石鉱山 きらめく黄鉄鉱が銀河のように美しい

キースラガー(層状含銅硫化鉄鉱床)kieslager

三波川変成岩帯にある

別子銅山と同じで、別子型鉱床とも呼ばれる 

黄鉄鉱や黄銅鉱、閃亜鉛鉱などを含む鉱石

 

f:id:bluesoyaji:20200316174704j:image

f:id:bluesoyaji:20200316174545j:image

神山町 広石鉱山跡で採集しました。

 

徳島県にはキースラガーを掘っていた鉱山がたくさんあり、高越鉱山や次郎鉱山、そしてこの広石鉱山跡を訪問したことがあります。

 

珍しい鉱物とは違って、鉱山跡に行けば落ちていて、割と簡単に見つけることができるので、採集しやすいです。

 

風化して錆びているものがほとんどですが、中には高品位の鉱石が残っていることがあります。

f:id:bluesoyaji:20200316174630j:image

この写真のものは、珍しく高品位のもの(たぶんですが…)

 

小さくても手に取ると、ずっしりと重いです。

f:id:bluesoyaji:20200316174921j:image

f:id:bluesoyaji:20200316174744j:image

日本の先人のみなさんが、社会の発展のため、これらの鉱石を苦労して掘っていたことに思いをはせ、記録しておきたいと思います。

f:id:bluesoyaji:20200316174758j:image

f:id:bluesoyaji:20200316175013j:image

f:id:bluesoyaji:20200316174817j:image

私はなぜか、鉱物の中では比較的地味な、このキースラガーに惹かれるのです。

 

 

紅簾石(こうれんせき) piemontite(ピーモンタイト) 徳島県の石 鉱物採集の紹介

数年前から石集めにはまりました。

きっかけは、低山歩きを始めたことです。

 


コース紹介の本に載っていた鉱山跡を歩いた時に、鉱物採集をやってみたら、これがおもしろかった。

 


お宝探しの魅力があり、地学好きでもあった自分にピッタリでした。

それ以来、あちこちの鉱山跡や地学ポイントに出向きました。

 


今は、化石採集に軸足を移していますが、石好きは変わりません。

記録をかねて、石の魅力を書いていきます。

 


最初は、ふるさと徳島県を代表する紅簾石(こうれんせき)です。

f:id:bluesoyaji:20200315205139j:image

f:id:bluesoyaji:20200315210101j:image


徳島市の眉山や高越山、神山町で採集したモノです。

f:id:bluesoyaji:20200315205219j:image


銀色の地に紅色の細かい結晶が入っていて、コントラストが大変美しい。

f:id:bluesoyaji:20200315205244j:image

 


眉山では、大き目の結晶が取れたそうですが、ルーペで見ないとわからないくらいの小さな結晶です。

 

f:id:bluesoyaji:20200315205312j:image
三波川変成帯と呼ばれる地域で見られます。

 

10倍のルーペで見ると

f:id:bluesoyaji:20200315205407j:image

 

 

f:id:bluesoyaji:20200315210200j:image


眉山では簡単に拾えます。

この紅色が美しくて、ルーペで見ていて見飽きません。

 

 

 

大塚国際美術館の遊び方 ゴッホもモネも目の前に コスプレで絵の中へ 最高に楽しい大塚国際美術館の楽しみ方を紹介します

大塚国際美術館は、世界の名画を陶製の複製画で展示した美術館です。

気軽に、名画の世界を楽しめる素敵な施設です。

残念ながら、コロナウィルスによる自粛で、臨時休館中(3月4日~3月31日)です。

美術が好きな人や学校が休校中のみなさんに、大塚国際美術館の魅力を写真で紹介します。

開館したら、ぜひ、足を運んでくださいね。

 

写真は、2年前の2018年の夏に行った時のものです。

私は二度目ですが、子どもは初めての観覧です。

「7つのヒマワリ」という企画展をやっていました。

 

今でこそ、大塚国際美術館は、米津玄師さんの「lemon」紅白生中継で有名になり、賑わっていますが、私たちが行った時は、その4ヶ月前。

 

まだあまり知られていなくて、よく空いていました。

コスプレもやっていて、待ち時間なしで楽しめました。(現在はやっていないようです)

 

広大な施設に、1000点あまりの名画が展示されており、半日、いや一日は十分楽しめます。

 

カフェやショップも充実しており、鳴門海峡を望むロケーションも最高。

 

インスタ映えすること間違いなしのスポットです。

f:id:bluesoyaji:20200315144531j:image

ゴッホと印象派が好きという私たち親子には楽しすぎる美術館訪問でした。

 

f:id:bluesoyaji:20200315144052j:image

f:id:bluesoyaji:20200315144234j:image

f:id:bluesoyaji:20200315144305j:image

f:id:bluesoyaji:20200315144340j:image
f:id:bluesoyaji:20200315151803j:image
f:id:bluesoyaji:20200315151838j:image
f:id:bluesoyaji:20200315151901j:image
f:id:bluesoyaji:20200315152621j:image

f:id:bluesoyaji:20200315152642j:image



f:id:bluesoyaji:20200315145539j:image



f:id:bluesoyaji:20200315145212j:image

大塚国際美術館の中庭

鳴門大橋のすぐそばにあります

f:id:bluesoyaji:20200315160417j:image

米津玄師さんが紅白でlemonを歌ったホール

f:id:bluesoyaji:20200315145845j:image

システィーナ礼拝堂天井画

 

動画でどうぞ

https://www.instagram.com/p/Bs0et6Rllcg/?igshid=vzucmeazyl3c

https://youtu.be/q_SCigoLwyo
f:id:bluesoyaji:20200315145850j:image
f:id:bluesoyaji:20200315145856j:image

モネの大水蓮 広大なスペースです
f:id:bluesoyaji:20200315145900j:image

f:id:bluesoyaji:20200315155251j:image
f:id:bluesoyaji:20200315155327j:image
f:id:bluesoyaji:20200315155256j:image
f:id:bluesoyaji:20200315155323j:image
f:id:bluesoyaji:20200315155246j:image

 

国公立大学二次試験 国語記述対策にうってつけの良問 北海道大学 2020年 前期 国語 第一問 中屋敷均 「科学と非科学 その正体を知る」

北海道大学 2020年 前期 国語 第1問 中屋敷均 『科学と非科学 その正体を知る』

f:id:bluesoyaji:20200310182943j:image

f:id:bluesoyaji:20200310183000j:image

f:id:bluesoyaji:20200310183012j:image

f:id:bluesoyaji:20200310183022j:image

f:id:bluesoyaji:20200310183032j:image

 

形式段落の要旨をまとめました。通し番号は形式段落のものです。

 

1科学と生命は似ているー現在の姿から発展・展開させていく性質を内包する点

 過去の蓄積を記録する仕組みを持つ

 変化したバリエーションを生み出す能力が内在している

 

2科学の歴史―たくさんの間違いが発見され消えていった

 

3誤り、つまり現実を説明していない仮説の提出は日常茶飯事

 

4適応度の高い仮説は批判に耐え後世に残る

 その適応度をさらに上げる修正仮説が提出される

 生物の「適者生存」のよう

  ↓

 科学は、変化し、より適応したものが残り、成長、進化していく

 

5科学の知見は不動の真理ではない、常に不完全

 

6正しいか正しくないがあるのではなく、どれくらい確からしいかという確度の問題が存在するだけ

 

7原理的に不完全な科学的知見をどう使うか

 確からしさに対して正しい認識を持つべきだ

 

8確からしさを正確に把握し峻別する

 

9医学―指標化の試みー調査の規模や方法、分析手法で順位付け

 

10しかし、専門家でも意見が分かれることを非専門家が理解し判断することは現実的に相当困難

 

11権威主義―権威の高さと情報の確度を同一視して判断するやり方

  現在、この方法が主である

 

12専門家の意見は参考にすべき

  権威主義による判断もわかりやすく役に立つならそれで十分

 

13しかし、どこか拭い難い危うさー人の心の持つ弱点と関連

  権威にすがり安心してしまいたい、何かを信じて不安から逃れてしまいたい

 

 

解答例は河合塾、駿台、代ゼミのホームページにあります

https://kaisoku.kawai-juku.ac.jp/nyushi/honshi/20/ho1-31a.pdf

 

本文の特徴は

・論旨が明確

・接続語を適切に使用

・極力、専門用語を使っていない

 

これらの点から、国公立大学の二次試験、記述問題の入門としてとてもよい問題だと思います。

 

入門といっても簡単ではありません。

本文の読解力と指定された字数で解答をまとめる力が必要です。

 

来年度から始まる共通テストも、こんな良い文章を出題してほしいと思います。

中身のない契約書やパンフレットなどの組み合わせ問題は、国語力もつかず、おもしろくもないのでやめてほしいですね。

 

余談ですが、問題訂正があります。

f:id:bluesoyaji:20200310183452j:image

本文の「生態系」を誤って「生熊系」と表記していたようです。

ギャグかと思いました。

「熊」が「生態」する北海道ならではのご愛敬でしょうか。 

京都大学に受かるには、幅広い教養が必要 京都大学 2020年 前期 国語 第一問 小川国夫「体験と告白」を解いて考えたこと

 

京都大学 前期 2020年 国語 第1問 「体験と告白」小川国夫

 

出典は随筆ですが、内容は文学評論です。

日本文学専攻の大学生でも、十分読み応えがある文章です。

設問は、文系は5問、理系は最後の第五問がなく4問です。

 

出典を探しましたが、簡単にはわかりませんでした。

ネットで検索してわかったのは、『雲間の星座』 冬樹社 1975 所収 

初出は「潮」昭和47年10月号

ということでした。

 

カーリルで検索してもありません。入手しにくいようです。

 

f:id:bluesoyaji:20200309182248j:image

f:id:bluesoyaji:20200309182301j:image

f:id:bluesoyaji:20200309182317j:image
f:id:bluesoyaji:20200309182326j:image

形式段落の要旨をまとめてみました。通し番号は形式段落の番号です。

 

1或ることを証明するためにフィクションが必要

 

2言葉で事実を美化する→体験の真実を隠してしまう

 理由―語る人が客観化に心を砕くからーリアリズムの感覚

 

3非真実を本当らしく語る

 真実を知ろうとする人―言葉を剥ぎ取っていくこと、言葉の霧を透明化すること

  ↓

 高度のリアリズム精神

 

4井原西鶴の作品のキーワードー真実よりつらきことはなし

 

5自分を見過ごした人間にとっても自信の弱点のつらさを知っている

 ツルゲーネフー他人を有効に罵りたければ、自分の欠点を相手のこととして並べ立てればいい

 人間は共通の過敏な粘膜がある

 

6願望―人間に共有な過敏な粘膜を包み隠したい意思

  ↓

 リアリズム小説の第一の着眼点

 

7<あばく>ということ→人間はなぜ自分たちの弱点を書き、読むのか

  ↓

 小説を書いたり読んだりするのが面白いから

 

8人間が人間に対して抱く興味の矛盾

 アウグスチヌスー劇を見る人は他者をあわれむことを欲しているが、自分があわれであることは欲しない

 劇が人の心をとらえるのは酔うため、あわれな自己を直視するのを避けるため

 

9トルストイの思想も似ているー自分の小説含め大部分の小説を否定せざるを得ない

 

10体験談からは現れてこない人間の真実をあらわにする方法がリアリズム小説

 

11リアリズム小説のもたらした結果―人生は一つの崩壊の過程にすぎないという結論

 

12人の世は意味を隠し持つーそれをあきらかにしたい

  人生を形作っている要素―言葉、体験談

 

13鍵は体験談、告白という観念の識別、把握の仕方

 

長くはない文章で井原西鶴、ツルゲーネフ、アウグスチヌス、トルストイに言及しています。

受験生は、この4人について、ある程度の知識を持っていないとイメージがわきにくかったでしょうね。

また、リアリズム、私小説についても、知っているとわかりやすいかもしれません。

 

後半の11段落以降が少しわかりにくいと思います。

 

解答例は、河合塾、駿台、代ゼミのホームページに解答速報として掲示されています。

 

河合塾https://kaisoku.kawai-juku.ac.jp/nyushi/honshi/20/k01.html

 

解いてみて自分の解答は、盛り込む要素が不足していたり、言い換えや要約ができていなかったりで、やや難しく感じました。

 

面白いのは、河合塾、駿台、代ゼミで、かなり違いがあることです。

 

言い回しが難しめなもの、比較的本文の記述によったもの、解答の方向性が異なるものなど、個性的です。

 

受験生のみなさんは、各校の解答例文を見比べて、どこのが一番しっくりくるかを検討してみてください。それも大切な記述の勉強法です。

 

私は、駿台の解答が一番すっと入ってきました。

 

リアリズムや私小説については、深い知識もなかったので、この入試問題は新鮮でした。

 

来年から導入される共通テストの出題方針で示される、実用的な文章とは対極にありますね。

 

グラフや契約書、パンフレットばかり読んでいて読書を怠ると、この二次試験には手も足も出ないでしょう。

 

本当の意味の読解力、記述力が求められる良問だと思います。

 

京都大学を目指す受験生は、幅広い知識と教養を、読書を通じて身につけておきましょう。

理系を目指す受験生も広い教養が求められる 京都大学 理系 2020年 前期 国語 第二問 『妖怪学新考 妖怪からみる日本人の心』小松和彦 を解いてみた

 京都大学 理系 2020年 前期 国語 第二問

『妖怪学新考 妖怪からみる日本人の心』小松和彦

f:id:bluesoyaji:20200307101444j:image

f:id:bluesoyaji:20200307101503j:image

f:id:bluesoyaji:20200307101517j:image

f:id:bluesoyaji:20200307101535j:image

形式段落の要旨をまとめました

番号は形式段落の通し番号です。

 

1谷崎潤一郎『陰翳礼讃』―昭和の初めころには、闇の消失が目立ったものになってきた

2屋内の「眼に見える闇」―幻覚を起こしやすい

 闇に魑魅、妖怪だけでなく女も住んでいた

 逆に女の体から闇が出されていたのかもしれない

3燭台、行灯の明かりと陰にできる闇の調和に日本文化の美しさが

 明る過ぎる電灯により陰翳ある世界が消失することを憂う

 光りと闇の織りなす陰翳

4日本の美の理想

 美のみでなく日本人の精神や日本文化全体、人間全体にとっても重要

5闇の消失は電線が全国に張りめぐらされた大正から昭和にかけて

 近代化の波、資本主義、近代的消費社会のシステムへ編入

 同時に妖怪の姿も消え去る

6大正時代の童謡『かなりや』の一節「後ろの山」

 闇の領域としての恐怖に満ちた山

 前近代が抱えもつ深い闇の恐怖空間

 大人にも謎めいた闇の空間として生きていた

7仏壇や納戸の暗さー「向こう側」「背後」を隠しもっている恐さ

8子どもだけでなく大人も同様

 『かなりや』-大人の心を揺さぶる

 

本文の読み取りは、難しくありません。

2段落は、身の回りのものや風景に女体を見る、谷崎ワールド全開です。

 

 

設問は3問。問二のみ「本文に即して」という条件がついている点に注意。

解いてみた感想は、問一と問二の解答が重なりそうになってしまい、本文の範囲のどこを使うかが難しいなということ。

 

解答例は、河合塾のサイトを参照してください。  

https://kaisoku.kawai-juku.ac.jp/nyushi/honshi/20/k01-32a.pdf

 

 

 

京都大学が理系の受験生にこの問題を課したねらいを考えてみました。

 

科学は世界のすべてを解き明かす事ができる訳ではない、

日本の美や精神、文化、人間全体、あるいは妖怪的なものに対する関心や知識を持つことが理系にも必要だ。

広く言えば、人間に対する人文学的アプローチも重視せよ。

 

といったところでしょうか。

 

谷崎潤一郎は、戦後、京都に住んでいた時期があります。お墓も京都にあります。

京都ゆかりの谷崎の「陰翳礼讃」は読んでおくようにということでしょう。

「感性」が注目されてきた現代、建築を目指す人はもちろん、どの理系分野でも発想のヒントになると思います。

ぜひ読書をおすすめします。

 

 

陰翳礼讃 (角川ソフィア文庫)

陰翳礼讃 (角川ソフィア文庫)

 

 

 

共通テストで予告されている実用的な文章、契約書やパンフレットを読んでも、おもしろくもないし、読解力がつく訳でもありません。

 

京都大学には、今後もこのような良問をぜひ出題してほしいですね。