bluesoyaji’s blog

定年後の趣味に、化石採集や鉱物について、読書感想などを書いています。みなさんのお役に立てばうれしいです。

フェルメール展に行ってきた 混雑の様子と、ちょっと悔やんだこと

フェルメール展に行ってきた 混雑の様子と、ちょっと悔やんだこと

 

大阪の中之島美術館で開かれたフェルメール展に行ってきました。行けたことには満足していますが、混雑のせいで少し心残りもあります。これから行く人の参考になるよう、当日の様子を書きます。

当日の流れ

抽選に当たり、平日11時入場の枠で、息子と2人で行きました。大阪駅前のバスターミナルから73号のバスに乗り、田蓑橋で降りるとすぐ美術館です。

10時15分ごろに着き、11時入場の待機列に並びました。前には40人ほど。10時半入場の人たちが先に入り、その空いた場所へ私たちが進みます。10時50分ごろに列が動き出し、11時前に入場できました。待ち時間は約40分でした。

 

中之島美術館

入ってすぐ、身動きがとれない

会場に入ると、最初のブースはぎゅうぎゅうの満員でした。みんな入口のパネルの説明文を熱心に読んでいて、前に進めません。

私は早めにあきらめ、すきまを探して奥へ進みました。どの絵の前にも人垣が何重にもでき、正面からじっくり見るのは無理です。背が高いのを生かして、後ろから背伸びをして見て回りました。

そのなかで、レンブラントの「笑う男」と、フェルメールの「ディアナとニンフたち」の前では少し足を止められました。

 

「真珠の耳飾りの少女」は、あっという間

メインの「真珠の耳飾りの少女」は、広い部屋に1点だけ展示されていました。ここだけは列が仕切られ、絵の横をつづら折りに進みます。思ったより人が少なく、待ち列は3列ほどでした。

私はカメラを構えて何枚か撮り、あっという間に絵の前を通り過ぎました。入場から退場まで、1時間ちょっとです。正直、拍子抜けでした。

 

息子の質問と、ピカピカの正体

会場を出たあと、息子に聞かれました。
「絵の表面が、星みたいにピカピカ光ってたのはなんで?」

私は撮影に夢中で、まったく気づいていませんでした。実物をじっくり見なかったことを、ひどく後悔しました。

黒い背景に光の点々が見える

家に帰ってから、買った図録を読んでみましたが、この光には何も書かれていません。そこで自分で考えてみました。

  • 黒い背景に散らばる光は、絵の具に何か練り込んであるのかもしれない
  • 自分の写真を見直すと、たしかにピカピカが写っている
  • 別の絵の写真では、写っているものと写っていないものがあり、撮った角度で変わっていた

    ディアナとニンフたち

絵の右上に光の点が見える

このことから、絵の具の盛り上がった部分に会場の照明が反射して光って見えたのでは、と考えています。ただし、確かめたわけではありません。

 

 

次に行くときの反省

  • 撮影できても、写真は後回しにして、まず絵をじっくり見る
  • 人が多くても気になる絵の前ではねばり、目に焼きつける
  • グッズを買いすぎない

感想

展示されている絵の数は少なく、解説パネルが多い印象でした。「真珠の耳飾りの少女を見た」という事実を確かめに行く展覧会、と言えるかもしれません(あくまで個人の感想です)。

「日本で見られるのはこれが最後になるかもしれない」といった宣伝や抽選の仕組みも含めて、気持ちをあおられている感じが強いイベントでした。

 

 

東大2026年度 前期文科 国語 第四問(小説)「宿雨のあとで」を解いてみた 大学入試の小説問題の考え方

東大2026年度 前期文科 国語 第四問(小説)「宿雨のあとで」を解いてみた

*以前の投稿を編集し直したものです

 

問題文はこちら(東大サイトへのリンク)

令和8(2026)年度第2次学力試験問題 | 東京大学

出典は仲谷実織「宿雨のあとで」。設問は全部で4問、すべて「説明せよ」という記述式です。
このタイプの問題は、いきなり解答を見て内容を理解するより、「本文のどこに注目したか」を先に押さえたほうが、次に似た問題が出たときに使える力になります。ここでは設問ごとに、着目ポイント→解答の考え方の順で見ていきます。

 

設問(一):なぜ翔子は草を踏みつぶしたのか

傍線部は「クリスマスツリーのようにも見えるそれを、彼女はやがて踏み潰した」

 

着目ポイント
- 翔子は親の都合で引っ越しをさせられ、住み慣れた環境や人間関係から急に切り離された
- 牛舎の匂いや見慣れない草など、新しい生活になじめず嫌悪感を抱いている

 

考えてみよう:この2点だけから、あなたなら「なぜ踏みつぶしたのか」をどう説明する?
       自分の言葉で書いてみよう(以下の設問も同じ)

 

解答の考え方
翔子は自分の意思とは関係なく生活が変わってしまい、気持ちの整理がついていない。慣れない場所への戸惑いやいら立ちが、目の前の草を踏みつぶすという行動に出た、とまとめられます。

 

 設問(二):弥生はなぜ悪戯っぽく笑ったのか

傍線部は「彼女——弥生さんは、目尻に皺を浮かべ、悪戯っぽくほほ笑んだ」

 

着目ポイント
- 弥生さんの畑は、周りのきれいに手入れされた畑と違い、雑草も混じった自然な状態
- 弥生さん自身はその畑に自信を持っている
- 犬のアンバーとなら気が合いそうな翔子に、この畑を見せたいと思っている

 

考えてみよう:もし弥生さんの畑が周りと同じようにきれいに手入れされていたら、この「悪戯っぽい笑み」は生まれただろうか?

 

解答の考え方
弥生さんは、他とは違う自分の畑を誇りに思っており、翔子ならきっと気に入るはずだと考えて見せようとしている。その企みが成功しそうな予感に、思わず表情がゆるんだ、と読み取れます。

 

設問(三):なぜ「わたし」の声もはずんだのか

傍線部は「そう答えるわたしの声もはずんだものになっていた」

 

着目ポイント
- 翔子から「授業参観には来ないで」と言われていた
- 夫に相談しても曖昧な返事しかもらえなかった
- 思い切って、授業参観の代わりに弥生さんとアンバーに会いに行こうと提案した
- 翔子が予想以上に驚き喜んだ

 

考えてみよう:「わたし」が声を弾ませたのは、翔子のためだけだろうか? 自分自身の気持ちも関係していないか、想像してみよう。

 

解答の考え方
気が進まない授業参観をやめて、弥生さんの畑に行くという提案をしたところ、翔子が思った以上に喜んだ。その反応を見て「わたし」自身も、この選択でよかったと安心し、声が弾んだと考えられます。

 

 設問(四):なぜ思わず翔子を見てしまったのか

傍線部は「彼女の言葉に思わず翔子を見てしまう」

 

着目ポイント
- 弥生さんが口にした「無理にやらせなくても育つ」「手をかけすぎるとかえってうまくいかない」という農作業の話
- その言葉が、そのまま子育てにも通じるものだった

 

考えてみよう:農作業の話が子育てのヒントに聞こえたのはなぜだろう? 二つに共通する何かを言葉にしてみて。

 

解答の考え方
弥生さんの何気ない一言が、「わたし」にとって翔子への接し方のヒントのように響いた。親の都合で子どもを追い詰めすぎてはいけないのでは、と気づかされ、思わず翔子の様子をうかがってしまった、とまとめられます。

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読み方のコツ
この小説のように、登場人物の言葉や行動の変化に注目すると、心情の理由が見えてきます。特に「なぜ◯◯したのか」を問われたら、その直前の会話や出来事を本文中から探す、という手順を崩さないことが大切です。

最後にひとつだけ
もしあなたが翔子の立場で、親の都合で知らない土地に連れてこられたら——新しい場所になじむまで、何を手がかりにすると思う? 答えは出さなくていい。次に誰かの気持ちを説明する設問に出会ったとき、ふと思い出してもらえたら十分です。

 

参考

※河合塾・駿台の解答速報は掲載期間が限られるため、リンク切れの場合はご了承ください

河合塾の解答例のリンクです

東京大学 前期日程 | 2026年度 国立大二次試験 私立大入試 解答速報 | 大学入試解答速報 | 大学受験の予備校・塾 河合塾

出典の仲谷実織「宿雨のあとで」はこちらに掲載されています

 

 

アンモナイト 化石採集しました(改訂版)

アンモナイト 化石採集しました(改訂版)

1年ぶりに化石採集に行ってきました。場所は関西方面の白亜紀の地層がある場所です。

ある地学巡検に参加して、先輩方から教えてもらいながら、念願のアンモナイト化石を採集することができました。

! !

「キャナドセラスだよ」と教えてもらい、帰宅後に自分でも調べてみました。


キャナドセラスとは

キャナドセラス(学名:Canadoceras)は、アンモナイト目パキディスカス科に属する属の一つです。北アメリカ大陸・日本・樺太・マダガスカルなど、環太平洋を中心とした地域から化石が見つかっており、主に白亜紀後期のカンパニアン期の地層から産出しますが、最初期の種は少し前のサントニアン期後期にすでに出現し、最後期の種は続くマーストリヒチアン期前期まで生き延びていたと考えられています(出典:Wikipedia「キャナドセラス」)。

殻の直径は種によって幅があり、3センチメートル程度の小さなものから50センチメートルを超えるものまで知られています。複数の種で、直径10センチメートルほどまでの個体は未成熟な若い個体だろうと推測されているそうです(出典:同上)。今回採集した個体は自分がこれまで採ったアンモナイトの中で最大ですが、種としての成体のサイズ幅を踏まえると、まだ成長段階の個体だった可能性もありそうです。

北海道からの産出でよく知られる近縁属としては、直径56センチメートルに達する種を含むパキディスカス(Pachydiscus)があり、キャナドセラスと同じパキディスカス科の仲間です(出典:Wikipedia「パキディスカス」)。

「キャナドセラス」という名前の面白い由来

北海道三笠市立博物館の解説によると、キャナドセラスという学名は1922年に命名されましたが、その由来である「カナダ」という国は、命名当時まだ存在していませんでした。当時のカナダは1867年に「カナダ自治領」となっていたものの、イギリスからの実質的な独立は1931年のウエストミンスター憲章、法的な完全独立は1982年のカナダ憲法制定を待つことになります。つまりキャナドセラスは、「カナダ」という国号が正式に確立するよりも先に、化石の学名として世に出ていたことになります(出典:三笠市立博物館「今月のアンモナイト」2025年5月号)。


発見の様子

キャナドセラスは珍しいものだそうで、大きさも今まで自分が採集したアンモナイトの中で最大でした。長いところで15cm程度

真ん中で接着しています。これは泥水の中から拾い上げた石を割り続けていたとき、この石がアンモナイトそのものであることに気づかずにハンマーでかち割ってしまったためです。

先輩に見せると、アンモナイトの本体だと教えてくれました。

表面の縫合線に気づかなかった初心者の悲しみ。

すぐに先輩がその場で接着してくれました。

! ! ! ! ! !

泥を落として、保存のためにボンドを薄めた液を塗りました。

複雑な縫合線が美しいです。


感想

採集した翌日は筋肉痛がひどく、歯痛も重なってきつかったです。

採集を楽しむためには、普段からの体力づくりが必要だと実感しました。

インスタで動画を紹介しています。

リンクはこちら https://www.instagram.com/reel/DJ08u-EvNVB/?igsh=YnY3eWJmb2ZnNmt4


出典

海岸で見つけた丸い穴、実は化石でした サンドパイプという生痕化石

海岸で見つけた丸い穴、実は化石でした サンドパイプという生痕化石

海岸を歩いていると、岩や地層の表面に丸い筒のような模様が並んでいるのを見つけることがあります。これは「生痕化石(せいこんかせき)」と呼ばれるもので、大昔の生き物そのものではなく、生き物が残した「跡」が化石になったものです。今回は兵庫県南あわじ市の海岸で見つけた、サンドパイプという生痕化石を紹介します。

サンドパイプとは

サンドパイプは、大昔に海の底にすんでいた生き物が、砂の中に掘った巣穴の跡です。生き物自体は分解されてなくなってしまいますが、巣穴の形だけが地層の中に残り、それが化石になります。筒状の穴がいくつも並んでいるのが特徴で、注意して見ると海岸のあちこちで見つけることができます。

実際に見つけたサンドパイプはこちらです。

サンドパイプの写真:ここに現地で撮影した写真を挿入してください(筒状の穴が並ぶ地層の断面がわかるアップの写真がおすすめです)

標本データ

  • 産地:兵庫県南あわじ市の海岸(淡路島南部)
  • 分類・化石名:サンドパイプ(生痕化石)
  • 入手時期・経緯:2019年9月、海岸を歩いて採集
  • 気に入っているポイント:生き物の姿は残っていないのに、その生活の跡だけで大昔の様子を想像できるところ

あると便利な道具

海岸で化石を探すときは、次のような道具があると安心して楽しめます。

  • 軍手やゴム手袋(岩やとがった石でけがをしないため)
  • 地質用ハンマーとタガネ(母岩を割って化石を取り出すため)
  • 保護メガネ(石を割るときの破片よけ)
  • ジップ袋や新聞紙(採集した石を持ち帰るときの保護用)
  • ルーペ(小さな化石を観察するため)

 

 

 

 

 

おわりに

サンドパイプは見た目が地味なので、最初は気づかない人も多いと思います。しかし「これは生き物の跡なんだ」と知ってから見ると、海岸の景色が少し違って見えてきます。次に海に行くときは、貝殻だけでなく、砂の中の丸い模様にも目を向けてみてください。

転がった石をひっくり返したら、探し続けていたアンモナイトが出てきた話

転がった石をひっくり返したら、探し続けていたアンモナイトが出てきた話

化石採集をしていると、「今日も何も見つからないかもしれない」と思いながら、それでも石を割り続ける日がよくあります。今回紹介するのは、そんな日々の中で、ようやく自分の力で見つけることができたアンモナイト化石の記録です。

発見までの経緯

2019年3月末、実家のある徳島県に帰省したときのことです。いつも通っている白亜紀の地層がある産地に、化石採集に出かけました。

この日は少し特別でした。化石にとても詳しい方と話す機会があり、この産地でアンモナイトが見つかりやすいポイントを教えてもらっていたのです。いつもは一人でネットの情報を頼りに山に入っていたので、経験者からの助言はとてもありがたいものでした。

教わった通りに、いつもより谷の手前側を探してみました。小さな沢を登っているときにアンモナイトの破片を見つけましたが、雨が降り始めたため沢を降り、周辺に転がっている石(転石)を探すことにしました。

石を割り続けて疲れてきたころ、何気なくひっくり返した転石の裏に、探し続けていたアンモナイトがついていました。

アンモナイトが付いた転石の写真

何度もこの産地に通っていながら見つけられずにいたので、驚きよりも先にほっとした気持ちが大きかったのを覚えています。

沢を登っている途中の写真

転石を探している様子の写真

その後は雨脚が強くなったため採集を切り上げ、近くの上勝町へ桜を見に行きました。

発見時の化石アップの写真

標本データ

  • 産地:徳島県(普段から通っている白亜紀の地層がある産地)
  • 分類・化石名:アンモナイト。のちに周囲の岩を削って大きさが分かるようにクリーニングしたところ、直径10cm前後の個体であることが判明。図鑑の写真と見比べた結果、「シュードハプロセラス・ジャポニカム」という種に近い姿をしている(専門家に鑑定してもらったわけではないので、確定ではありません)
  • 時代:中生代白亜紀のバレミアンという時代(今からおよそ1億3000万年前)
  • 入手時期・経緯:2019年3月末、徳島への帰省時に採集。経験者に教わったポイントを参考に、転石をひっくり返して発見
  • 気に入っているポイント:何度も同じ産地に通いながら見つけられずにいた分、発見できたときの安心感とうれしさが大きかった。1億3000万年前の生き物と対面できたという時間の隔たりも、化石採集ならではの魅力だと感じる

あると便利な装備品

初めてのアンモナイト発見のような場面でも役立つ、化石採集の基本装備を紹介します。

  • 地質用ハンマー・タガネ:転石を割って中の化石を確認するために必須の道具
  • 軍手・皮手袋:岩の破片やとがった部分でけがをしないために着用
  • 保護メガネ(ゴーグル):石を割るときに飛ぶ破片から目を守る
  • レインウェア:山中で急に雨が降ることも多いため、上下セパレートタイプがあると安心
  • ルーペ(拡大鏡):見つけた化石の細部や、種類を見分けるときに便利
  • 図鑑・専門書:見つけた化石の種類や時代を調べるための参考書

 

 

 

 

 

 

 

 

おわりに

化石採集は、地道に石を割り続ける時間がほとんどで、何も見つからない日も少なくありません。それでも、経験者に教わったポイントを頼りに探し続けた末、転石をひっくり返した瞬間にアンモナイトが姿を現したときの気持ちは、今でもよく覚えています。1億3000万年前の生き物に、自分の手で初めて出会えた瞬間でした。これから化石採集を始めてみたい方も、まずは詳しい人にポイントを聞いてみることをおすすめします。

長編小説の読了に挑戦中です 失われた時を求めて Ⅰ 第一篇 スワン家の方へ 第一部 コンブレー その22

失われた時を求めて Ⅰ 第一篇 スワン家の方へ 第一部 コンブレー その22

 

178段 文筆の素養がないこと、有名な作家になる望みを諦めること、無念、1つの形や匂いに包まれた未知なるものにとらわれる、特別な快感

・ここにも作家プルーストの本質が伺える、要注目

179段 マルタンヴィルの二つの鐘塔を照らす夕日

180段 鐘塔を見て覚えた快感

181段 鉛筆と紙を借り、短文を書きつける、三つの鐘塔は三つの花、伝説の三人の少女

182段 ゲルマントの方の散歩の幸福、家に帰ると夕食後に母が来てくれない不安に駆られ、死にたい思い

183段 メゼグリーズの方とゲルマントの方の風景は、夢見る一少年のおかげで生き延びる、この二つの方角によって知った物や人が、今なお私に喜びを与える唯一のもの

・ 一巻の内容を総括する記述。タイトルの「失われた時を求めて」の意味を解説している

・母への思い

184段 現在の私の思い、コンブレー時代のことを一杯の紅茶によって思い出す

185段 朝の窓からの光が、暗闇で再建していた住居を消し去る

 

感想

・第一巻を読み終えて考えていることを記録として書く

・ 一巻の全体像はぼんやりとつかめたが、細部で理解できなかった点が度々あった

・その原因は、自分のフランスの文化全般への理解度の不足もあるが、主には文章がしっくり来なかったことである

・翻訳文には、原文のニュアンスに忠実に訳すものと、日本語として伝わりやすく、言い換えもするものとの二タイプがあると思う

・この鈴木道彦訳はおそらく前者であり、原文に忠実に訳されているのだろう

・私はフランス語の知識もなく、原典をフランス語で読んだこともないので憶測になってしまうが、日本語として内容が伝わってこない箇所に出くわすと読みが止まってしまった

・正直に言うと、読むのが大変難しかった。このブログ記事を書いていなければ、おそらく読書を中断し、長編小説の読了という目標も捨てていただろう

・原文に忠実な訳を第一とするよりも、翻訳として読む以上は、日本語としてちゃんと伝わることを優先するのが大事なのではないだろうか

 

 

 

 

 

長編小説の読了に挑戦中です 失われた時を求めて Ⅰ 第一篇 スワン家の方へ 第一部 コンブレー その21

失われた時を求めて Ⅰ 第一篇 スワン家の方へ 第一部 コンブレー その21

 

171段 ゲルマントの方の終着点、ゲルマンと公爵夫妻

172段落 小さな囲い地、ゲルマント夫人への夢想

・作家になりたい希望と才能への不安、父への望み

・結構赤裸々に作家になることへの心情が語られる。プルーストを研究するには要注目

173段 母からゲルマント夫人の情報を得る

174段 結婚式のミサに出席したゲルマント夫人を目撃する、現実の夫人の外見とそれから受ける印象

175段 現実と夢想

176段 婦人の視線

177段 婦人を念入りに観察する、夫人の目、微笑が私の上にとどまり、自分が彼女に気に入られたと信じ込む

・恐ろしいまでの自己陶酔、勝手な思い込み…「私は自分が彼女の気に入られたのだと信じ込んだ」

・現代の熱烈なファンがアイドルに寄せる偏執狂的な心情を思わせて、ちょっと読んでいて違和感がある

 

感想

・第一巻もようやく終盤。ゲルマント公爵夫人が登場する。いきなり憧れの夢想の人を目にして、妄想を膨らませる私。このとき私は何歳なのか?

 

 

 

長編小説の読了に挑戦中です 失われた時を求めて 1 スワン家の方へ その20

失われた時を求めて Ⅰ  第一篇 スワン家の方へ その20

 

 

162段 ゲルマントの方への散歩、今はなきペルシャン街の復原を夢想する

・語られている時間が過去のものであり、さらにその中で過去の歴史のエピソードが語られるという重層的な時間のため、読者は混乱する

・作者の語りのパターンと認識しておけば、読みが滞らずに進む

 

163段 古い旅館、サン=ティレールの鐘塔

 

164段 ヴィヴォンヌ川、旧橋、いにしえの塔の断片、過去の物語、キンポウゲの花

 

165段 川に仕掛けた水差し

 

166段 水にゆられる睡蓮、神経症患者を連想する

 

167段 睡蓮の庭園

・モネの睡蓮の池かと思った描写。わざわざ「日本趣味の七宝模様」と書いている

 

168段 小舟の底に仰向けに横たわり、空をながめて漂う舟人へのあこがれ

 

169段 水辺でおやつの時間、鐘の音

 

170段 楽しみの家、一人の若い夫人の姿

・恋の裏切り、諦めきった女の顔、どんな悲恋があったのか‥

これからの物語の伏線か?

 

感想 

 

・モネの睡蓮?の描写がすばらしい。日本人の大好きなモネの絵のあのイメージを言語化していて読みごたえがある

 

モネ作品集

モネ作品集

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長編小説の読了に挑戦中です 失われた時を求めて Ⅰ 第一篇 スワン家の方へ その19

 

 

 

失われた時を求めて Ⅰ  第一篇 スワン家の方へ その19

 

148段 サディズムについて、ヴァントゥイユ嬢をのぞき見する

149段 喪服姿のヴァントゥイユ嬢、晩年のヴァントゥイユ氏に対する母の思い

150段 ヴァントゥイユ氏の肖像写真と女友達

151段、152段、153段 二人のやりとり

154段、155段 道徳と背徳の二面性

156段 二人のからみ、父の肖像写真

157段 冒涜の儀式

158段、159段 快楽の魅力

160段 窓を閉めるヴァントゥイユ嬢

161段 サディストとしてのヴァントゥイユ嬢、快楽を悪と同一視するようになった

・嬢の心理分析がつかみにくい

 

感想

 

さて、お待たせしました。第1巻の山場、濡れ場?の登場です。

同性愛がいきなり出てきます。小説を求める読者としては興味深いですね。

ところが、翻訳が原因か、のぼせた私の頭が原因か、読んでもさっぱりわからない部分があるのです。

以下引用 p350(集英社版)

 

もし彼女が自分にもまたすべての人のうちにも、他人の惹き起こす苦悩に対するあの無関心があること、どんな別の名称を与えようとも、この無関心は残酷さの持つおそろしくまた恒久的な形態であることを見抜いていたならば、おそらく彼女は悪がこんなに稀で異常で見慣れない状態だとは思わなかっただろうし、悪の国に移住することをこれほど心安まるもののように考えはしなかったことだろう。

 

やれやれ、これで一文です。

いわゆる反実仮想です。もしAならばBだったろうに(現実はAではなくBでない)

この形に当てはめて読解すると、

 

もし〜見抜いていたなら→実際は彼女には他人に対して無関心があり、無関心が残忍さの形態と見抜けていない

 

おそらく〜考えはしなかったことだろう→悪は稀で異常で見慣れないことと思うし、悪にそまることを心安まるものと考えた

 

となります。

すなわち、嬢にとって、そんな悪をするのは快楽!となる

嬢のサディズムとはこんな感じ。淋しかったのか・・・

長編小説の読了に挑戦中です 失われた時を求めて Ⅰ 第一篇 スワン家の方へ その18

失われた時を求めて Ⅰ スワン家の方へ 第一部 コンブレー その18

 

133段 ヴァントゥイユ氏の娘と女、ひとびとの噂

134段 世間の噂に対するヴァントゥイユ氏の態度

135段 スワン氏への態度

136段 両親とスワン氏の態度

137段 メゼグリーズの方の散歩

138段 風景描写

139段 雨の描写

140段 教会での雨宿り・様々な像からの連想が語られる

141段 夏の夕立

142段 天気の悪い日の散歩、レオニ叔母の死とフランソワーズ

143段 私の、フランソワーズへの態度・ずいぶんフランソワーズに意地悪な私が描かれる

144段 秋の散歩

145段 ちぐはぐな気持ち

146段 農家の娘への欲望・私のヰタ・セクスアリスか?それにしても理屈っぽい

147段 ルーサンビルの塔に祈り、農家の娘の出現を望む

 

感想

私の性の目覚め?が描かれる

興味深いテーマだ

 

農家の娘を想像しながら散歩する私の内心はどんな欲望に身を焦がされているのか

 

哲学ぽい思考の開陳はフランス人特有のものなのか?

 

思春期に誰もが経験する思いなので、もう少し頭に入りやすく描いてほしい