bluesoyaji’s blog

定年後の趣味、大学入試問題の分析、国語の勉強方法、化石採集、鉱物採集、文学、読書、音楽など。高校生や受験生のみなさん、シニア世代で趣味をお探しのみなさんのお役に立てばうれしいです。

国公立大学二次試験

「『夕暮れに夜明けの歌をー文学を探しにロシアに行く』奈倉有里」京都大学文系国語第1問を解く

京都大学 前期文系国語 第一問を解いてみました。 記述問題の解法を説明します。参考になれば幸いです。 なお、河合塾の解答速報と駿台予備校の解答速報を参考にさせてもらいました。 先にこれらのサイトで模範解答を閲覧してから読んでもらえるとわかりやす…

東京大学 2022年 前期 国語 第一問 鵜飼哲「ナショナリズム、その〈彼方〉への隘路」

東京大学 2022年 前期 文科 鵜飼哲「ナショナリズム、その〈彼方〉への隘路」 この大学入試が行われた直後に、プーチンの命令でロシアがウクライナに軍事侵攻をしました。アメリカやヨーロッパはもちろん、世界中の多くの国がこの「暴挙」に反対していま…

京都大学2022年前期国語 高橋和巳「〈邪読〉について」 国語教師が解いてみたら、とてもいい内容だった

2022年京都大学 前期 国語 文系学部 第二問 高橋和巳『〈邪読〉について』 形式段落の内容をまとめました 1 「千夜一夜物語」の語りは、物語が物語を生み、登場人物が語り出した物語の中の人物がまた一つの物語を語り出す 2 これはアラビア文化圏特有…

京都大学2022年前期国語 岡本太郎「日本の伝統」 国語教師が解いてみたら大変面白かった

2022年京都大学 前期 国語 文系学部 第一問 岡本太郎『日本の伝統』 本文の内容をまとめました。 1 今日の若い世代は日本の古典芸術よりも西洋の古典芸術の方を理解している。 2 法隆寺金堂壁画の焼失のニュースは、十大ニュースの9位でしかない。 3…

これも面白い入試問題でした 国語教師が解いた入試問題 今福龍太『宮沢賢治 デクノボーの叡知』九州大学 国語 2021年

九州大学 今福龍太「宮沢賢治ーデクノボーの叡知」 形式段落に通し番号をつけました(赤字) 形式段落の要旨です。 1模倣(ミメーシス)能力は人間文化における創造性の根源にあるもの 2ベンヤミン「模倣の能力について」文字以前の文化は内蔵、星、舞踏を…

京都大学の国語は二問目もすごかった 石川淳「すだれ越し」文系国語第二問 随筆

京都大学 2021年 文系 国語 第二問 随筆 石川淳「すだれ越し」 石川淳は明治32年(1899)〜昭和62年(1987)東京生まれの小説家。36歳で「佳人」を書き、昭和11年「普賢」で芥川賞を受賞、戦時中は一貫して抵抗の姿勢を貫く。戦後は太宰治や坂口安吾とと…

京都大学の国語問題を解いて考えた 2021年 文系 西谷啓治「忘れ得ぬ言葉」

京都大学2021文系国語第一問 西谷啓治「忘れ得ぬ言葉」 形式段落の要旨をまとめました。 1京都大学生として下宿していたころ、親しい友人のなかで山崎深造だけは別格でおとなだった 2京都二年目に私はチブスの疑いで入院した。 3山崎は入院に関して万事世…

国公立大学二次試験 国語記述対策にうってつけの良問 北海道大学 2020年 前期 国語 第一問 中屋敷均 「科学と非科学 その正体を知る」

北海道大学 2020年 前期 国語 第1問 中屋敷均 『科学と非科学 その正体を知る』 形式段落の要旨をまとめました。通し番号は形式段落のものです。 1科学と生命は似ているー現在の姿から発展・展開させていく性質を内包する点 過去の蓄積を記録する仕組みを持…

京都大学に受かるには、幅広い教養が必要 京都大学 2020年 前期 国語 第一問 小川国夫「体験と告白」を解いて考えたこと

京都大学 前期 2020年 国語 第1問 「体験と告白」小川国夫 出典は随筆ですが、内容は文学評論です。 日本文学専攻の大学生でも、十分読み応えがある文章です。 設問は、文系は5問、理系は最後の第五問がなく4問です。 出典を探しましたが、簡単にはわかりま…

理系を目指す受験生も広い教養が求められる 京都大学 理系 2020年 前期 国語 第二問 『妖怪学新考 妖怪からみる日本人の心』小松和彦 を解いてみた

京都大学 理系 2020年 前期 国語 第二問 『妖怪学新考 妖怪からみる日本人の心』小松和彦 形式段落の要旨をまとめました 番号は形式段落の通し番号です。 1谷崎潤一郎『陰翳礼讃』―昭和の初めころには、闇の消失が目立ったものになってきた 2屋内の「…

教育格差を取り上げた東京大学 2020年 前期 国語の問題を解いてみて、出題の意図を考えてみた 『神の亡霊』小坂井敏晶 東京大学出版会

東京大学 2020年 前期 国語 出典『神の亡霊』小坂井敏晶 東京大学出版会 第一問 現代文を解いてみました。 段落の要旨を形式段落の番号順に載せています。 1学校教育で階層構造が再生産される 教育機会の均等で貧富差の解消、公平な社会にと期待 2機会…

国公立大学二次試験 2018年東京大学 入試問題 国語第二問「太平記」を解いて考えた

// 東京大学の2018年入試で、不倫を題材にした古文が出題されていた。このご時世に、なぜ不倫問題なのか考えてみた。 国語第二問「太平記」 解答例は河合塾解答速報より引用しました 高師直は、人妻になっている女に手紙を出す。わざわざ兼好法師に書か…

衝撃的過ぎる!?『「文系学部廃止」の衝撃』が大阪大学と法政大学の入試問題で被り過ぎ

// 以前に、大阪大学の入試問題を取り上げました。 www.bluesoyaji.com 出典の『「文系学部廃止」の衝撃』が2017年の法政大学の入試問題でも出題されていました。 今回は、二校の問題を比較して気づいたことを報告します。 驚きその1 引用箇所がほとん…

国公立大学二次試験 静岡大学 大学入試問題 「街場の憂国論」内田樹 2015年 人文社会学部

// 静岡大学 2015年 人文社会学部(言語文科学科)「街場の憂国論」内田樹 河合塾のサイトで読めます http://kaisoku.kawai-juku.ac.jp/nyushi/honshi/15/si1.html 現代文としていますが、「問三 あなたはどのような情報社会が望ましいと考えていますか…

国公立大学二次試験 東京大学 藤原新也 「ある風来猫の短い生涯について」2015年 大学入試 前期 文科

// 若い頃、よく読んだ藤原新也が東京大学の入学試験に出題されていたので、久しぶりに読んでみました。 2015年 東京大学 前期 文科 藤原新也 「ある風来猫の短い生涯について」 河合塾のサイトで読めます http://kaisoku.kawai-juku.ac.jp/nyushi/honshi/15…

国公立大学二次試験 山本周五郎の小説が金沢大学の入試に出題されていたので読んでみた 2017年 金沢大学 人間社会学域 国語

// 2017年 金沢大学 人間社会学域 入学試験問題 国語 「民衆という幻像」渡辺京二 筑摩書房 山本周五郎の小説を取り上げ、義理を論じた文章。周五郎を題材にする評論は珍しいので、読んでみました。 http://nyushi.nikkei.co.jp/honshi/17/kn1-31p.pdf …

国公立大学二次試験 山形大学医学部 2015年 大学入試問題 「夜間飛行」サン=テグジュペリ

// サン=テグジュペリの「夜間飛行」は、1931年にパリで出版された小説である。 山形大学医学部の2015年大学入試 国語の問題で「夜間飛行」が出題されたので、考えてみた。 なお、問題文は、新潮文庫 堀口大学訳の文章。おそらく著作権の関係でネットに…

国公立大学二次試験 2016年 東京大学 文科 前期 大学入試問題 国語 「反知性主義者たちの肖像」内田樹

// 2016年 東京大学 文科 前期 国語 「反知性主義者たちの肖像」内田樹 河合塾のサイトで見ることができます。 東京大学 http://kaisoku.kawai-juku.ac.jp/nyushi/honshi/16/t01.html 反知性主義について、引用を用いながら筆者の考える知性との対比で、その…

国公立大学二次試験 2017年 広島大学 入試問題 国語 「ブラジルおじいの酒」目取真俊 を読んで考えた

// 2017年 広島大学 入試問題 国語 小説 「ブラジルおじいの酒」目取真俊 河合塾のサイト http://kaisoku.kawai-juku.ac.jp/nyushi/honshi/17/hr1.html 近所に一人で住む「おじい」と小学4年生の「ぼく」との交流が描かれている。初めは友だちと「おじい」の…

国公立大学二次試験 2017年 大阪大学 入試問題 文学部 国語 小説 島尾敏雄 「魚雷艇学生」を読んで考えた

// 2017年 大阪大学 入試問題 文学部 国語 小説 島尾敏雄 『魚雷艇学生』 http://nyushi.nikkei.co.jp/honshi/17/ha1-31p.pdf 分析や解答例は河合塾のサイトでどうぞ。 河合塾(総合教育機関・予備校)/ 2017年度国公立大二次試験・私立大入試解答速報http:/…

国公立大学二次試験「文系学部廃止」の衝撃 2017年大阪大学 入試問題を読んで考えた

// 2017年 大阪大学 法・外国語・経済・人間科学部(前期) 『「文系学部廃止」の衝撃』吉見俊哉著 集英社新書 ここで見ることができます。 http://nyushi.nikkei.co.jp/honshi/17/ha1-32p.pdf 今回はテキストにしてみました。 ただし、設問の傍線部や漢字問…

国公立大学二次試験 2017年 京都大学 入試問題 国語 理系 「私」をつくる 近代小説の試み を読んで考えた

// 2017年 京都大学 入試問題 国語 理系 「私」をつくる 近代小説の試み 岩波新書(新赤版) 15722015年11月20日第1刷発行著者 安藤宏 問題文は第3章「あなた」をつくる からの引用で、二葉亭四迷が話し言葉で小説を書くことを迷っていたというエピソードに…

国公立大学二次試験『青天有月』 松浦寿輝 2016年 京都大学 入学試験 前期 文系国語問題を読む

// オウムガイは古代から生き延びた生物として知られている。生きている姿はどこかユーモラスで魅力がある。 似たような生物としてアンモナイトが有名だが、こちらは絶滅してまい、現在は化石としてしかみることができない。 私は、アンモナイトの化石を求め…

国公立大学二次試験《演劇的知》について/安田雅弘 2008年 京都大学 文系 国語 入試問題を読んで考えたこと

// 河合塾のサイトに過去問があります。問題文、解答、分析つき http://kaisoku.kawai-juku.ac.jp/nyushi/honshi/08/k01.html 本文は、ここでも読めます。www.yamanote-j.org/uptown_archive/shisou.pdf 「身体感覚」について、演劇のワークショップでの「靴…

国公立大学二次試験 大阪大学文学部 国語 小説『海炭都市叙景』で大学入試現代文を味わう

// 大阪大学 文学部 2016年 前期 大学入試 現代文 小説『海炭都市叙景』 佐藤泰志 河合塾のサイトで読むことができます。 http://kaisoku.kawai-juku.ac.jp/nyushi/honshi/16/ha1.html 文庫本でおよそ6ページ、冒頭から半分弱の分量。 冬山に初日の出を…