以前に、大阪大学の入試問題を取り上げました。
出典の『「文系学部廃止」の衝撃』が2017年の法政大学の入試問題でも出題されていました。
今回は、二校の問題を比較して気づいたことを報告します。
驚きその1
引用箇所がほとんど同じです。
法政大学は、「十二、十三世紀の西欧で、キリスト教的な秩序のもとに大学が生まれます。」から「「ここには、文系的な知が絶対に必要ですから、理系的な知は役に立ち、文系的なそれは役に立たないけれども価値があるという議論は間違っていると、私は思います。」まで。
一方、大阪大学は、法政の2段落後から始まり、終わりは法政の1文だけ後までです。
ほぼ、問題文に使っている部分が重なります。
こんなことある?と思うのは私だけ?
たしかに、中核をなす内容の箇所だから、重なることもあり得るでしょう。しかし、それにしても驚く一致度です。
驚きその2
設問が同じ箇所を使っています。
法政大学の問三 傍線部3「「役に立つ」ことには二つの次元があります」とあるが、その「二つの次元を説明したものとして最も適切なものをつぎの中から選び、記号をマークせよ。
大阪大学の問二 傍線部(1)「二つの次元」について、それぞれを端的に示す言葉を本文中から抜き出しながら、両者の違いを八〇字以内で説明しなさい。
マーク式と記述式の違いはありますが、「二つの次元」は同じ箇所です。
もう一問あります。
法政大学の問六 傍線部5「理系的な知は役に立ち、文系的な知は役に立たないけれども価値があるという認識は間違っている」とあるが、そう言える根拠となる筆者の考えを、本文全体を要約して三十字以上、四十字以内で記せ。
大阪大学の問四 傍線部(3)「役に立たないけれども価値がある」という議論の立場と、筆者の立場との相違点について、理系の知に対する文系の知の違いに言及しながら二〇〇字以内で説明しなさい。
どちらも最後の設問です。おそらく配点が高いと思われる設問の箇所が同じです。
今回、法政大学でも同じ出典からの出題だと気づいて、両校の問題を見てみたところ、共通点が多いことに驚きました。
日程的には、法政大学が先に入試があり、大阪大学が後です。もし法政大学を受験し、大阪大学も受験した人がいたなら、驚愕するでしょう。いや、狂喜するでしょう。
現代文の評論に同じ文の同じ箇所が使われるなんて、まずありません。
両校の問題作成委員の先生は、興味が同じだったのでしょうか。あるいは、この本の「衝撃度」が大きくて、大学の先生がたは、ぜひ入試で取り上げてやろうと思ったのでしょうか。
どこかの予備校が下請けで作成した?いや、プロが同じ素材を使い回すなんて考えられません。
驚きの一致度、おそらく2017年度入試の筆頭でしょう。