bluesoyaji’s blog

大学入試問題の分析、国語の勉強方法、受験勉強、化石採集、鉱物採集、文学、読書、音楽など。高校生や受験生のみなさん、シニア世代で趣味をお探しのみなさんのお役に立てばうれしいです。

小説

「失われた時を求めて」の翻訳比べをしました。どの訳が読みやすいか検証してみました。第1巻スワン家のほうへ

光文社古典新訳文庫 高遠弘美訳 そして、私の思考も、そんな椅子に似た揺籃のようなものではなかったか?外界で生起することを眺める場合でも、私はその中にどっぷりと身を沈めているー私はそう感じた。外界の事物を見ているとき、自分がそれを見ているという…

連載を始めました。「邦裕の孤愁 くにひろのこしゅう」第4話 偽装カップル誕生

健人が優奈を連れてきた翌週の土曜日は、珍しく健人も家に居て、三人で晩御飯を食べていた。 健人は頼みがあると言って、話を切り出した。 「優奈を連れてきたあと、優菜が朱莉に嫉妬して酷いねん。タイプやろとか、一緒に住んでたら好きになるとか色々言っ…

連載を始めました。「邦裕の孤愁くにひろのこしゅう」第3話 健人と彼女 

健人には優奈と言うかわいい彼女がいる。健人と同じようにモデルをやりながら、お芝居の勉強をしている。女優の卵といえばいいのか、しかし、少しも気取ったところがなくて、邦裕とも気さくに話しをする感じのよい子だ。健人とは、モデルの仕事を通じて知り…

連載を始めました。「邦裕の孤愁 くにひろのこしゅう」第2話 風呂場の悲鳴

朱莉が来て三日目の夜のこと。 邦裕が自分の部屋で、明日が提出期限の課題をやっていると、風呂場から「ぎゃーっ」と言う叫び声が聞こえてきた。朱莉の入っている時間だ。 不審者が侵入したのだろうか、助けないとと思い、慌てて風呂場に駆け込むと、また、…

小説 連載を始めました。「邦裕の孤愁 くにひろのこしゅう」第1話 朱莉がやって来る

高校二年生が始まった日、朱莉は突然、邦裕と健人の住む家にやって来た。 邦裕と健人は、三宅さんの所有するシェアハウスに住んでいる。そこから高校に通っている。 邦裕は小学校六年生の時、突然両親が死んでしまい、叔父に引き取られて、二人で暮らしてい…

石川淳「山桜」は上田秋成「青頭巾」、谷崎潤一郎「蘆刈」と同じ結末の構造だった 創作の秘密を探ってみました。

今年2021年の京都大学の入試問題に出題された石川淳「すだれ越し」がおもしろかったので、石川淳が読みたくなり、まず「山桜」を読んでみました。 これがとてもおもしろい小説だったので、紹介します。 石川淳「山桜」 構成を見ましょう。 金を借りに行った…

コメディあるいはトラジティ

コメディあるいはトラジティ 中央芝生で 中央芝生の縁で寝転んでいた常二は、時計台の上に広がる青空と雲の群れを眺めていた。 二回生に進級して、近づくゴールデンウィークをどんなアルバイトをしてしのごうかと思案をしているのである。 故郷の母が営む商…

源氏物語 現代語訳 話題の角田光代訳を与謝野晶子訳、谷崎潤一郎訳と比べてみました

長編小説で読了が難しい作品と言えば、「失われた時を求めて」ですが、我が国の傑作古典「源氏物語」も読了が難しいです。 www.bluesoyaji.com 長年、国語教師をしていますが、何度も読了に挑戦したものの、できませんでした。 そこで考えたのが、現代語訳な…

人生の最後の日までには読み終えたい小説ナンバー1「失われた時を求めて」マルセル・プルースト 読了に挑戦しよう

プルーストの「失われた時を求めて」の読書がはかどらないので、集英社から出ている抄訳版で読んでみようと思いつきました。 改めてこの長編小説の読書に挑戦しています。 まずは、有名なマドレーヌの場面に行きついたので、じっくり読んでみました。 集英社…

高校教師が解いてみた 大学入学共通テスト国語 第2日程 第2問 小説「サキの忘れ物」津村記久子

共通テスト第2日程 国語 第2問小説「サキの忘れ物」 本文の読解 登場人物は主人公「千春」と常連客の「女の人」が中心で、ほんの少しだけ店長とアルバイトの菊田さんが終盤に登場する。 千春と女の人の会話も、複雑な内容ではなく、量も少ないのでつかみやす…

大学入学共通テスト 国語 第2問 小説 「羽織と時計」加能作次郎を高校教師が解いてみた

大学入学共通テスト 国語第2問 小説 「羽織と時計」加能作次郎 問題へのリンクはこちら(毎日新聞) https://mainichi.jp/exam/kyotsu-2021/q/?sub=NTL この小説が発表された1918年は大正7年。第1次世界大戦の終了年です(大戦の開始は1914年)。…

60からのMac 還暦の手習シリーズ2 iTunesがない!衝撃の洗礼

購入したのは、Mac mini本体のみで、純正のマウス、キーボードを購入しなかったので、初期設定をする段階で、文字入力する方法がないことに直面しました。 しばらく途方に暮れて画面を見つめます。 これは、子供にUSB接続のキーボードを借りて、なんとか設定…

三四郎は迷える明治男か?あるいはサイコパスか?STRAY SHEEPのなぞを考える

明治の男はつらかったと思う。 鎌倉時代から数百年にわたって培われてきた武士道の美学と倫理、つまり禁欲と痩せ我慢があらゆる行動の指針になっているにもかかわらず、時代は確実に、金銭と欲望だけが支配する資本主義の方に進みつつあったからだ。つまり、…

迷える羊は誰に出会ったのか?STRAY SHEEPのなぞはこれだった

迷える羊は誰に出会ったのか? インフルエンザから回復して美禰子に会いに行く三四郎。 本文は青空文庫から引用しました。 朝飯後、シャツを重ねて、外套《がいとう》を着て、寒くないようにして美禰子の家へ行った。玄関によし子が立って、今|沓脱《くつぬ…

結婚を決意した美禰子の気持ちを覆せるか 三四郎の言葉は届くのか STRAY SHEEPのなぞを考える

原口さん宅を辞し、美禰子と二人になった三四郎。美禰子に気持ちを伝えますが、その結果はどうなったでしょうか? 本文は青空文庫から引用しました。 夕暮れには、まだ間《ま》があった。けれども美禰子は少し用があるから帰るという。三四郎も留められたが…

美禰子の異変を目にする三四郎 原口さんのアトリエで STRAY SHEEPのなぞを考える

三四郎が、よし子と一緒に野々宮さんの下宿に行ったとき、野々宮さんから、よし子の見合い話が出ました。 翌日、三四郎は国から届いた金を持って学校に出て、与次郎から、美禰子が絵のモデルとして毎日通っている画家の原口さんの住所を聞き出します。 広田…

三四郎の運命が決定された夜 美禰子が結婚 STRAY SHEEPのなぞを考える

美禰子から金を借りた後の三四郎について見ていきます。 「精養軒の会」(広田先生の後援会のようなもの)に参加した帰り 与次郎からの話です。 本文は青空文庫から引用しました。 「笑わないで、よく考えてみろ。おれが金を返さなければこそ、君が美禰子さ…

美禰子の告白を拒む三四郎 破局の原因は?STRAYSHEEPのなぞを考える

美禰子に誘われて、展覧会についてきた三四郎。絵のことがわからず、美禰子と会話にならない中、決定的な出来事が起こります。 ここは「三四郎」の最大の山場ではないでしょうか。 本文は青空文庫から引用しました。 それでも好悪《こうお》はある。買っても…

STRAY SHEEPの文字通り、当てもなくさまよう三四郎と美禰子

美禰子の家を辞し、付いて出てきた美禰子と当てもなく歩く三四郎。 本文は青空文庫から引用しました。 二人は半町ほど無言のまま連れだって来た。そのあいだ三四郎はしじゅう美禰子の事を考えている。この女はわがままに育ったに違いない。それから家庭にい…

鏡の中に現れる美禰子。思いをくみ取れない三四郎。STRAY SHEEPのなぞを考える

いよいよ美禰子宅を訪問する三四郎です。 少し長くなりますが、二人の距離が縮まるのか、離れるのか、最大の山場なので、じっくり読んでいきましょう。 本文は青空文庫から引用しました。 翌日はさいわい教師が二人欠席して、昼からの授業が休みになった。下…

美禰子に会いに行く前の、三四郎の心情は?STRAY SHEEPのなぞを考える

三四郎は、与次郎に頼まれて金を貸します。 与次郎が、広田先生から預かった、野々宮さんに返す予定の金を競馬で摩ってしまったからです。 与次郎は金策の結果、美禰子に金を借りることになりましたが、美禰子がつけた条件は、三四郎が金を受け取りに来るこ…

美禰子は露悪家か?三四郎を悩ますものは STRAY SHEEPのなぞ 「三四郎」夏目漱石  

広田先生宅訪問 美禰子にとらわれている三四郎ですが、三四郎の頭の中では美禰子をどう見ているのかを整理してみましょう。 そうすることで、美禰子との関係の問題点がはっきりとすると思われます。 本文は、青空文庫から引用しました。 三四郎は近ごろ女に…

野々宮さんが気になり、美禰子と向き合えない三四郎 STRAY SHEEPのなぞを考える「三四郎」夏目漱石

大学の運動会を見に出かけた三四郎。見学に来ている美禰子に合うことを期待しています。 審判をしている野々宮さんと談笑する美禰子を遠目に見て、おもしろくないと思って会場から離れます。 そして、美禰子とよし子の目につくように姿を見せた三四郎は、す…

美禰子の描いた羊の絵の意味は STRAY SHEEPの種明かし「三四郎」夏目漱石

美禰子の本心をつかめるチャンスを逃した三四郎。美禰子の言った「STRAY SHEEP」の意味が分からず、とまどうばかりでした。 そんな三四郎の元に美禰子から絵はがきが届きます。 それには、二匹の羊と、大きな男が立っている絵が描かれていました。男は獰猛な…

STRAYSHEEPの謎を考える 美禰子が口にした「ストレイシープ」とは「三四郎」夏目漱石

いよいよストレイシープの登場です。「迷える子」を美禰子はどんな意味で言ったのでしょうか。 「三四郎」最大の謎を考えてみました。 本文は青空文庫から引用しました。 美禰子に誘われて三四郎は、広田先生、野々宮兄妹と五人で菊人形を見に出かけます。 …

STRAY SHEEPの謎を考える よし子は当て馬か?「三四郎」夏目漱石

STRAY SHEEPの謎を考える中で、よし子という存在が気になります。 女性に慎重な三四郎が、よし子のことは最初から全肯定なのです。 疑ったり、考え込んだりすることなく、よし子を素直に受け入れて、まるで母親のように感じるのです。 よし子に始めて出会う…

STRAY SHEEPのなぞを考える 美禰子と恋人同士のようにいちゃつく「三四郎」夏目漱石 

引っ越しの手伝いで、美禰子と心が通うようになった三四郎。 広田先生の本を片付ける場面では、二人が恋人同士のようにいちゃつく、ほほえましい様子が描かれています。 本文は青空文庫から引用しました。 美禰子と三四郎が戸口で本をそろえると、それを与次…

STRAY SHEEP ストレイシープ 共同作業で美禰子と親しくなる 「三四郎」夏目漱石を読んで考えた

美禰子の身体の描写を指摘しておきます。これまでは肌の色と目だけでした。 本文は青空文庫から引用しました。 女は白足袋《しろたび》のまま砂だらけの椽側へ上がった。歩くと細い足のあとができる。袂から白い前だれを出して帯の上から締めた。その前だれ…

STRAYSHEEP 美禰子に急接近 「三四郎」夏目漱石を読んで考えた

美禰子に急接近 広田先生の引っ越しを手伝う三四郎と美禰子 二人が急接近する場面です。 三四郎の態度を考察します。 本文は青空文庫 から引用しました。 そのうち そのうち高等学校で天長節の式の始まるベルが鳴りだした。三四郎はベルを聞きながら九時がき…

STRAY SHEEP「三四郎」夏目漱石 美禰子と三四郎の出会いⅡ(美禰子と再会する)

美禰子と三四郎の出会いⅡ(美禰子と再会する) 美禰子の容姿と行動について見ていきます。 本文は青空文庫から引用しました。 美禰子との再会 美禰子の容姿 美禰子の行動 美禰子との会話 三四郎の行動 これまでの流れ 美禰子との再会 野々宮さんに頼まれて、…