bluesoyaji’s blog

定年後の趣味、大学入試問題の分析、国語の勉強方法、化石採集、鉱物採集、文学、読書、音楽など。高校生や受験生のみなさん、シニア世代で趣味をお探しのみなさんのお役に立てばうれしいです。

読書

自分の才能を見つける方法、伸ばす方法が学べます

「凡人が天才に勝つ方法」つんく 東洋経済新報社 日頃、高校生に接している私は、彼らの才能の見つけ方、伸ばし方に興味があり、参考になる本を探しています。また、自分自身が還暦を過ぎても、眠っている才能?を探して伸ばしたいと思っています。そこで出…

「模倣と創造 13歳からのクリエイティブの教科書」佐宗邦威 さそうくにたけ PHP研究所を読んで

「模倣と創造 13歳からのクリエイティブの教科書」佐宗邦威 さそうくにたけ PHP研究所 読了しました。参考になった点を3つあげておきます。 1 模倣、想像、創造の3章に分けて、想像力を身につけるための具体的な方法が示されています。 2 人間の知能が…

京都大学2022年前期国語 高橋和巳「〈邪読〉について」 国語教師が解いてみたら、とてもいい内容だった

2022年京都大学 前期 国語 文系学部 第二問 高橋和巳『〈邪読〉について』 形式段落の内容をまとめました 1 「千夜一夜物語」の語りは、物語が物語を生み、登場人物が語り出した物語の中の人物がまた一つの物語を語り出す 2 これはアラビア文化圏特有…

「失われた時を求めて」の翻訳比べをしました。どの訳が読みやすいか検証してみました。第1巻スワン家のほうへ

光文社古典新訳文庫 高遠弘美訳 そして、私の思考も、そんな椅子に似た揺籃のようなものではなかったか?外界で生起することを眺める場合でも、私はその中にどっぷりと身を沈めているー私はそう感じた。外界の事物を見ているとき、自分がそれを見ているという…

50年ぶりに太陽の塔に再会して、思ったこと。

岡本太郎の本を読んで、太陽の塔を見に行きたくなったので、子どもと一緒に行ってきました。 www.bluesoyaji.com www.bluesoyaji.com 50年ぶりの対面です。 1970年の万博に連れてきてもらったのが、小学校3年生くらい、9歳だったと思います。 それか…

「自分の運命に楯を突け」岡本太郎 こころに強烈にひびく言葉がたくさんありました。

岡本太郎の「自分の中に毒を持て」を紹介しましたが、さらに「自分の運命に楯を突け」を読んでいます。 www.bluesoyaji.com まだ読み出したばかりですが、こころにひびく言葉がつぎつぎと現れてきました。 いくつか紹介します。 興味を持ったかたは、ぜひ一…

石川淳「山桜」は上田秋成「青頭巾」、谷崎潤一郎「蘆刈」と同じ結末の構造だった 創作の秘密を探ってみました。

今年2021年の京都大学の入試問題に出題された石川淳「すだれ越し」がおもしろかったので、石川淳が読みたくなり、まず「山桜」を読んでみました。 これがとてもおもしろい小説だったので、紹介します。 石川淳「山桜」 構成を見ましょう。 金を借りに行った…

これも面白い入試問題でした 国語教師が解いた入試問題 今福龍太『宮沢賢治 デクノボーの叡知』九州大学 国語 2021年

九州大学 今福龍太「宮沢賢治ーデクノボーの叡知」 形式段落に通し番号をつけました(赤字) 形式段落の要旨です。 1模倣(ミメーシス)能力は人間文化における創造性の根源にあるもの 2ベンヤミン「模倣の能力について」文字以前の文化は内蔵、星、舞踏を…

京都大学の国語は二問目もすごかった 石川淳「すだれ越し」文系国語第二問 随筆

京都大学 2021年 文系 国語 第二問 随筆 石川淳「すだれ越し」 石川淳は明治32年(1899)〜昭和62年(1987)東京生まれの小説家。36歳で「佳人」を書き、昭和11年「普賢」で芥川賞を受賞、戦時中は一貫して抵抗の姿勢を貫く。戦後は太宰治や坂口安吾とと…

「ひきこもれ ひとりの時間をもつということ」吉本隆明 だいわ文庫を読んで考えた

「ひきこもれ ひとりの時間をもつということ」吉本隆明 だいわ文庫 本文は上記から引用しました。 吉本隆明といえば、学生運動の思想的な柱、「共同幻想論」、よしもとばななの父などが思い浮かびます。 名前は知っていても、その著作は未読でした。 今回は…

三四郎は迷える明治男か?あるいはサイコパスか?STRAY SHEEPのなぞを考える

明治の男はつらかったと思う。 鎌倉時代から数百年にわたって培われてきた武士道の美学と倫理、つまり禁欲と痩せ我慢があらゆる行動の指針になっているにもかかわらず、時代は確実に、金銭と欲望だけが支配する資本主義の方に進みつつあったからだ。つまり、…

迷える羊は誰に出会ったのか?STRAY SHEEPのなぞはこれだった

迷える羊は誰に出会ったのか? インフルエンザから回復して美禰子に会いに行く三四郎。 本文は青空文庫から引用しました。 朝飯後、シャツを重ねて、外套《がいとう》を着て、寒くないようにして美禰子の家へ行った。玄関によし子が立って、今|沓脱《くつぬ…

結婚を決意した美禰子の気持ちを覆せるか 三四郎の言葉は届くのか STRAY SHEEPのなぞを考える

原口さん宅を辞し、美禰子と二人になった三四郎。美禰子に気持ちを伝えますが、その結果はどうなったでしょうか? 本文は青空文庫から引用しました。 夕暮れには、まだ間《ま》があった。けれども美禰子は少し用があるから帰るという。三四郎も留められたが…

美禰子の異変を目にする三四郎 原口さんのアトリエで STRAY SHEEPのなぞを考える

三四郎が、よし子と一緒に野々宮さんの下宿に行ったとき、野々宮さんから、よし子の見合い話が出ました。 翌日、三四郎は国から届いた金を持って学校に出て、与次郎から、美禰子が絵のモデルとして毎日通っている画家の原口さんの住所を聞き出します。 広田…

三四郎の運命が決定された夜 美禰子が結婚 STRAY SHEEPのなぞを考える

美禰子から金を借りた後の三四郎について見ていきます。 「精養軒の会」(広田先生の後援会のようなもの)に参加した帰り 与次郎からの話です。 本文は青空文庫から引用しました。 「笑わないで、よく考えてみろ。おれが金を返さなければこそ、君が美禰子さ…

美禰子の告白を拒む三四郎 破局の原因は?STRAYSHEEPのなぞを考える

美禰子に誘われて、展覧会についてきた三四郎。絵のことがわからず、美禰子と会話にならない中、決定的な出来事が起こります。 ここは「三四郎」の最大の山場ではないでしょうか。 本文は青空文庫から引用しました。 それでも好悪《こうお》はある。買っても…

STRAY SHEEPの文字通り、当てもなくさまよう三四郎と美禰子

美禰子の家を辞し、付いて出てきた美禰子と当てもなく歩く三四郎。 本文は青空文庫から引用しました。 二人は半町ほど無言のまま連れだって来た。そのあいだ三四郎はしじゅう美禰子の事を考えている。この女はわがままに育ったに違いない。それから家庭にい…

鏡の中に現れる美禰子。思いをくみ取れない三四郎。STRAY SHEEPのなぞを考える

いよいよ美禰子宅を訪問する三四郎です。 少し長くなりますが、二人の距離が縮まるのか、離れるのか、最大の山場なので、じっくり読んでいきましょう。 本文は青空文庫から引用しました。 翌日はさいわい教師が二人欠席して、昼からの授業が休みになった。下…

美禰子に会いに行く前の、三四郎の心情は?STRAY SHEEPのなぞを考える

三四郎は、与次郎に頼まれて金を貸します。 与次郎が、広田先生から預かった、野々宮さんに返す予定の金を競馬で摩ってしまったからです。 与次郎は金策の結果、美禰子に金を借りることになりましたが、美禰子がつけた条件は、三四郎が金を受け取りに来るこ…

美禰子は露悪家か?三四郎を悩ますものは STRAY SHEEPのなぞ 「三四郎」夏目漱石  

広田先生宅訪問 美禰子にとらわれている三四郎ですが、三四郎の頭の中では美禰子をどう見ているのかを整理してみましょう。 そうすることで、美禰子との関係の問題点がはっきりとすると思われます。 本文は、青空文庫から引用しました。 三四郎は近ごろ女に…

野々宮さんが気になり、美禰子と向き合えない三四郎 STRAY SHEEPのなぞを考える「三四郎」夏目漱石

大学の運動会を見に出かけた三四郎。見学に来ている美禰子に合うことを期待しています。 審判をしている野々宮さんと談笑する美禰子を遠目に見て、おもしろくないと思って会場から離れます。 そして、美禰子とよし子の目につくように姿を見せた三四郎は、す…

美禰子の描いた羊の絵の意味は STRAY SHEEPの種明かし「三四郎」夏目漱石

美禰子の本心をつかめるチャンスを逃した三四郎。美禰子の言った「STRAY SHEEP」の意味が分からず、とまどうばかりでした。 そんな三四郎の元に美禰子から絵はがきが届きます。 それには、二匹の羊と、大きな男が立っている絵が描かれていました。男は獰猛な…

STRAYSHEEPの謎を考える 美禰子が口にした「ストレイシープ」とは「三四郎」夏目漱石

いよいよストレイシープの登場です。「迷える子」を美禰子はどんな意味で言ったのでしょうか。 「三四郎」最大の謎を考えてみました。 本文は青空文庫から引用しました。 美禰子に誘われて三四郎は、広田先生、野々宮兄妹と五人で菊人形を見に出かけます。 …

STRAY SHEEPの謎を考える よし子は当て馬か?「三四郎」夏目漱石

STRAY SHEEPの謎を考える中で、よし子という存在が気になります。 女性に慎重な三四郎が、よし子のことは最初から全肯定なのです。 疑ったり、考え込んだりすることなく、よし子を素直に受け入れて、まるで母親のように感じるのです。 よし子に始めて出会う…

STRAY SHEEPのなぞを考える 美禰子と恋人同士のようにいちゃつく「三四郎」夏目漱石 

引っ越しの手伝いで、美禰子と心が通うようになった三四郎。 広田先生の本を片付ける場面では、二人が恋人同士のようにいちゃつく、ほほえましい様子が描かれています。 本文は青空文庫から引用しました。 美禰子と三四郎が戸口で本をそろえると、それを与次…

STRAY SHEEP ストレイシープ 共同作業で美禰子と親しくなる 「三四郎」夏目漱石を読んで考えた

美禰子の身体の描写を指摘しておきます。これまでは肌の色と目だけでした。 本文は青空文庫から引用しました。 女は白足袋《しろたび》のまま砂だらけの椽側へ上がった。歩くと細い足のあとができる。袂から白い前だれを出して帯の上から締めた。その前だれ…

STRAYSHEEP 美禰子に急接近 「三四郎」夏目漱石を読んで考えた

美禰子に急接近 広田先生の引っ越しを手伝う三四郎と美禰子 二人が急接近する場面です。 三四郎の態度を考察します。 本文は青空文庫 から引用しました。 そのうち そのうち高等学校で天長節の式の始まるベルが鳴りだした。三四郎はベルを聞きながら九時がき…

STRAY SHEEP「三四郎」夏目漱石 美禰子と三四郎の出会いⅡ(美禰子と再会する)

美禰子と三四郎の出会いⅡ(美禰子と再会する) 美禰子の容姿と行動について見ていきます。 本文は青空文庫から引用しました。 美禰子との再会 美禰子の容姿 美禰子の行動 美禰子との会話 三四郎の行動 これまでの流れ 美禰子との再会 野々宮さんに頼まれて、…

STRAY SHEEP 夏目漱石「三四郎」美禰子と三四郎の出会いについて考えた

美禰子と三四郎の出会い 「三四郎」本文は、青空文庫から引用しました。 三四郎が初めて野々宮さんを理科大学に訪ねていった帰り、池の畔で孤独を感じていると、 活動の激しい東京を見たためだろうか。あるいは――三四郎はこの時赤くなった。汽車で乗り合わし…

「三四郎」夏目漱石 を読んで考えた 「STRAY SHEEP」その2 宿屋での女

今回は「三四郎」の山場(?)のひとつ、女と宿屋に同宿する場面です。 前回見たように、女と話す機会を失った三四郎ですが、今度は女から話しかけられます。三四郎の対応に注目しましょう。 www.bluesoyaji.com 宿屋での女 1及び腰になって、顔を三四郎のそ…