センター試験に変わって行われる大学入学共通テストの試行問題が公表されました。
大学入試センターのホームページにあります。入手して解いてみました。
問題へのリンク
http://www.dnc.ac.jp/albums/abm.php?f=abm00011239.pdf&n=5-01_問題冊子_国語.pdf
解答へのリンク
http://www.dnc.ac.jp/albums/abm.php?f=abm00011249.pdf&n=01_国語.pdf
注目されるのが記述式の設問です。大問が5問あるうちの第1問が記述式となっています。その他は従来のセンター試験と同じマーク式(選択式)です。
第1問を解いてみました。
以前発表された記述式の例題が、賃貸駐車場の契約書という、なんとも高校生、受験生の興味、関心を無視した残念な内容でした。ブログにそれへの批判も書いておきました。
2問目が駐車場の契約書問題です
今回は、そういった批判に考慮したのか、高校での部活動に関する生徒会での話し合いという内容です。
高校生に近寄せてきましたね。
近づけすぎで今後ネタに困るのではと心配になるほどです。
それはさておき、内容は、生徒会部活動規約を読ませ、資料1~3を踏まえて設問に答えるというものです。
資料1は「部活動に関する生徒会への主な要望」という表です。読み取りは簡単。
資料2は「市内5校の部活動の終了時間」という表。これも簡単。
資料3は「青高生の主張」と題する高校新聞。円グラフと記事があり、読み取りに少し時間がかかります。
さて、問1 「当該年度に部を新設するために必要な、申請時の条件と手続き」を五十字以内で書け(趣意)。
これは規約から必要部分を抜き出し、指定字数内でまとめる。簡単です。
「同好会として三年以上の活動、四月第2週まで、所定の様式、生徒会部活動委員会」
これらの要素を盛り込むこと。普通に読解力があれば誰でもできます。心配ない。
次に第2問。本文のやりとりの中で空欄があり、それに当てはまる言葉を二十五字以内で答えるというものです。「言葉」となっているのが気になりました。一般的には「語句」が適切だと思うのですが。
まあ気にせず続けます。
兼部についての要望を答えるのですが、これも問1と同様に、生徒会部活動規約から読み取ります。「これまで認められてこなかった」というのがポイントで、体育部同士、文化部同士の兼部を認めてほしいと答えます。
これも易しいですね。普通に読解すればできます。
さて第3問。これが最長です。八十字以上百二十字以内で書けとあります。
しかも条件設定が細かい。
二文構成。
一文目は「確かに」という書き出し指定。具体的根拠を二点挙げ、時間延長に対する基本的な立場を示すこと、とあります。
二文目は、「しかし」という書き出し指定。終了時間の延長という提案がどう判断される可能性があるかを具体的な根拠と併せて示すこととあります。
そして「根拠」はすべて資料1~3によることと限定しています。
つまり、勝手に根拠を設定せず、(あなたの考えを自由に述べよではなく)あくまで資料の解釈に基づく記述を要求しています。
これらの条件をいちいち確認して3種類の資料から該当部分を見つけ出し、指定字数に納めるのは結構時間がかかりました。
模範解答と見比べてみると、要素の見落としがありました。
問1、問2と比較すると、やや手間がかかります。
「正答の条件」も細かいです。採点に時間がかかるのではないでしょうか。大丈夫ですか?
私ならこんなに条件の多い採点基準のある問題は作りません。採点が大変だから。
まあ、採点にブレが出ないようにということでしょう。
まとめると、本文(生徒同士のやりとり)、資料1~3の読み取りは簡単。設問は問1、問2は簡単。問3がやや手間がかかるということです。
最後に、「検討中」とある「作問のねらい~」という文章が添付されていて、それを読んで気になった点を書いておきます。
「大学入試共通テストにおいて問いたい『思考力・判断力・表現力』」という項目のうち、
「考えを解答する問題」④テクストの精査・解釈を踏まえて発展させた自分の考えを解答する問題(自由記述式/小論文)
テクストに書かれていること(構造や内容)を把握した上で、テクスト全体から精査・解釈し、それを踏まえながら発展的に自分の考えを形成することができる
とあるのですが、今回の試行テスト記述問題では、自分の考えを求められる設問はありませんでした。
今後、本試験に向けてこの項目はどうするのか、大変気になりました。