現代文の読み方を学ぶ
現代文の問題は大学入試などでよく出題されます。
高校生や受験生の皆さんは現代文が苦手という人も多いです。
その理由が、「勉強方法がわからない」、「文章によって出来不出来の差が大きい」、「日本語だから勉強しなくてもいいと思う」などいろいろ聞きます。
高校では1年生の時に国語総合という科目で、現代文の分野を週2、3時間学びます。内容は主に評論、随筆、小説などの散文と、詩、俳句や短歌などの韻文です。これにスピーチなどの表現分野の活動が加わることもあります。
現代文と言っても、広いジャンルを指しています。
今回は入試に必要な現代文で考えてみます。
入試の現代文の出題は、評論、随筆、小説の3分野のうち、大部分が評論です。
現代文の読み方は、まずは評論の読み方を学ぶことが必要です。
結論を先に挙げると、
- 頭で読むな、目と手で読め。
- あなたの考えは不要、著者の主張を読み取るだけ。ただし、出題者の意図も加わる。
- 語句の意味がわからないと厳しい。最低限の語彙力は身につけよ。
なんだか小難しい感じになってしまいましたが、できるだけわかりやすく説明していきます。
まずは1番の「頭で読むな、目と手で読め。」です。
普通みなさんは問題文(本文)を読んで頭で理解しようとします。
これだけではだめです。
なぜだめかというと、入試では抽象的な内容の文章や、異様に長い文章が出題されます。
すると、みなさんの記憶の能力を超えてしまいます。メモリー不足になるのです。
どこに何が書いてあったか、また初めから読み直さなければならない。
時間に余裕があればそれもいいのですが、実際の入試では、大問1題にせいぜい20分前後しか時間をかけられません。
たとえばセンター試験は80分で大問4題です。
限られた時間内で読むためには、初めに本文を読む時に、ペンで重要だと思われる部分に傍線を引いて目印をつけることです。
これを教えるとほとんどの高校生がどこに線を引いていいのかわからないと言います。
まずは、筆者の考えや主張がはっきり現れている部分を探しましょう。
同じ語句を繰り返している場合、それはキーワードです。チェックしておきましょう。
「つまり」「すなわち」など、要約したり言い換えたりするつなぎの言葉があると、そのあとの部分が大事なことが書かれています。
接続語は〇で囲っておくのも大事です。
「しかし」「そして」「たとえば」など、たくさん出て来ます。これらを〇印で囲って目立たせておきます。
最初は大事そうだな、わかりにくいなと思う部分にどんどん線を引いていきましょう。
次に、2について、設問を読むと、「傍線部を説明せよ」、「理由を次から選べ」など出題者からの指示があります。
これを考える時に、まずは自分が傍線を引いた部分をもう一度読んでみる。
すると、言い換えてあったり、同じ語句が選択肢にも使われていたりします。
そこで選択肢を吟味して消去法で解答を絞る、傍線部分を引用して説明文を書くなどの作業をします。
自分が線を引いた部分が、設問に対する解答の根拠になっているかどうかを検討する、これが問題を解くことです。
けっしてあなたの意見や考えは求められていません。
それは「小論文」でしか求められないのです。
短い解答時間内で、しかも場合によっては抽象的な哲学問題などにあなたが自分の考えを示している時間などないのです。
著者の主張を読み取り分析する。出題者の要求する設問に対する根拠を本文中から探し出し、解答する。
これが入試現代文に求められる力です。
最後に、3番の語句の意味についてです。
評論文は、特有の用語があります。「主観的」「客観的」、「抽象的」「具体的」、「パラドックス」、「演繹法」「帰納法」など。
これらは、高校生の皆さんは日常では使わない語彙ですね。こんな言葉でしゃべっていると、誰も相手してくれなくなる…そのレベルです。
ところが、入試現代文では、これでもかと言うぐらいに難解な語句が出て来ます。わざと読み手がわからないように書いているのではないかと勘ぐってしまいます。
「ペダンティック」という言葉がありますが、あまりにも「意味不明」と思わせる文章を出題する大学は、作問の先生が「ペダンティック」なのでしょうね。
*「ペダンティック」がわからない人は調べましょう。
そう、とにかくわからない語を見つけたら調べる。ネットですぐ探せます。スマホに記録するか、単語帳でも作って記入しておきましょう。一手間かけたことは案外忘れないものですよ。
効率よく語彙力を増やすには、「現代文単語集」などを利用することです。使い方は英単語集と同じです。
できれば例文が載っているものがいいでしょう。
本を読めば現代文の成績が上がるかとよく生徒から聞かれます。
答えは「NO」です。
本の内容によるからです。何でも読めばよいわけではない。活字に触れる量を増やすのは必要かもしれません。しかし、入試現代文で求められるようなレベルの文章でないと、いくら読んでも読解力はつかないでしょう。
それよりも、質のよい現代文をじっくり読む、過去問を解いて時間をかけて内容を理解する、といった勉強法がおすすめです。
長くなりましたが、少しでも現代文の勉強の参考になればと思い書きました。
受験生の皆さんはこれから公募推薦、センター試験、一般入試と続きます。
現代文の力を伸ばして、ぜひ合格の栄冠をつかんでください。