2025年 東京大学 前期 文系 第一問
出典 「身体と魂の思想史」田中彰吾
解いてみてわかったこと、感想を以下に書きます
読みやすい文章 一読でほぼ理解できるレベル
内容―身体論で、乳児の鏡像認知について
読解のポイントー体性感覚と視覚の連合だけでなく、他者から見た自己の身体と気づくこと
面白い点―群れで育ったチンパンジーは鏡像認知ができるが、単頭飼育のチンパンジーはそれができない
学びのポイントー私たちの身体イメージには他者の眼差しが刻印されている
解き方の説明をします
設問
(一)
鏡像を遊び相手として扱う=鏡に映る自己像を他者として知覚する
なぜか=次段にある「生後一年ごろまでの乳児にとって身体に由来する体性感覚的な情報と、外界に由来する視覚的情報とは分断されており、いまだ統合されていない」
「鏡に映る視覚的な全身像を『ここ』にある体性感覚的な情報と結びつけることができるようになるのに生後一年近い時間がかかる」
この二カ所を根拠として理由をまとめる
(二)
「移行期に鏡像を回避する行動が見られる」
「移行期の乳児にとっては~回避行動を引き起こす原因になっているように見える」5ページまん中あたり
・他者のような視覚像が体性感覚と連動しており
・どのように受け止めてよいのか~落ち着きのない回避行動
この二つのポイントを解答に盛り込む
(三)
「そこに映っている身体の像」=鏡に映る自己像
「外的視点から見た自己の身体」=「他者から見た自己の身体」
「気づくことができる」=「自己から見た他者の身体」と「他者から見た自己の身体」を交換することで自己の身体が外的な視点から見るとどのように見えるのかということを学習する
・群れで育つことで他者の身体を見る機会が多く、そこから鏡に映る自己の姿を自己像と気づくことができる
(四)
「他者の眼差しが刻印されている」
「鏡に映る身体の姿を~他者の目から見てどう見えるのかに気づくことが必要である」
鏡像認知は
A体性感覚と視覚を連合する
B自己の身体が他者の眼から見てどう見えるかに気づく
「AだけでなくB」の形でまとめる
(五)
a探索 b半端 c額
感想
設問一~三までは傍線部の前後に解答の根拠になる箇所があるのでわかりやすい
設問四は本文全体の趣旨を踏まえて答える問いになっているが、後半の要旨を踏まえていると解ける
漢字問題は平易
東京大学の問題と身構えると、案外解きやすいので拍子抜けする素直な良問
今年度は京都大学の第1問の方が難しいと感じた
模範解答
河合塾と駿台予備校のホームページに掲載されています