サマー・オブ・ソウル
往年のソウルミュージックのファンとしては、観ておかないといけない映画だと思い、コロナで観に行くのを自粛していた映画館に、二年ぶりに足を運びました。
感想を先にまとめると、音楽映画としては、やや物足りなく80点、ドキュメンタリーとしては、とてもよくできていて満点、というのが結論です。
個人的に注目したのは、若いころよく聴いていた、デビット・ラフィン(テンプテーションズ)、グラディスナイト&ザ・ピップス、B・B・キングの三人。
この三人のライブシーンは鳥肌が立ちました。なんといっても、プロフェッショナルを感じさせるパフォーマンスがすごい。
デビット・ラッフィンは驚くほど長身で、スリム。ファルセットが魅力的。
グラディスナイトは、初々しさが残る?ルックスがキュート。ピップスのソウルフルなダンスが最高にカッコいい。
B・B・キングは、画面に出てくるだけで、圧倒的な存在感がありました。完璧な歌声とギター演奏。もっと観たかった。
この映画では、ゴスペルに焦点が当てられているように感じました。
ゴスペルの比重が高く、出演者や演奏シーンも多かったです。
ステイプル・シンガーズのメイヴィス・ステイプルズが、なぜブルースを弾くのかと疑問を話すシーンがあり、興味深かったです。
ゴスペルは、ブルースを世俗的な音楽として、敵視していたことがあったそうで、それを裏付ける証言としておもしろかったです。
ドキュメンタリーとしての視点でいえば、黒人の公民権運動に教会の果たした役割は非常に大きかったため、教会音楽としてのゴスペルをこの映画で取り上げる比重が大きくなったのかもしれません。
ニーナ・シモンとスライ&ザ・ファミリー・ストーンが後半で大きく取り上げられていました。
メッセージ性の強いパフォーマンスを披露していて、ドキュメンタリーとしてのまとめに大きく貢献しているように思いました。
個人的には、両者の音楽を今まで聴いてこなかったので、映画の最後に盛り上がるという感動は起きませんでした。
6回にわたるフェスティバルということで、この映画に取り上げられなかったミュージシャンが他にもたくさんいたと思います。
1969年当時の黒人音楽シーンを記録し、後世に伝えるという意味で、映画に登場しなかったミュージシャンの映像も、何らかの形で公開、保存されることを期待します。