bluesoyaji’s blog

定年後の趣味、大学入試問題の分析、国語の勉強方法、化石採集、鉱物採集、文学、読書、音楽など。高校生や受験生のみなさん、シニア世代で趣味をお探しのみなさんのお役に立てばうれしいです。

母の日のプレゼントに 誕生日のお祝いに dyson supersonic ヘアドライヤーを選びました

 

みなさんは母の日のプレゼントをもう決めていますか?

また、大切な人への誕生日のプレゼントを決めていますか?

 

私は、妻の誕生日のプレゼントにダイソンのヘアドライヤーを送りました。

話題になるこのドライヤー、ネックは値段が高いことです。

公式オンラインストアでは、現在48600円。

 

いろいろ検索した結果、通販で、46280円で購入しました。

ポイントを使い、9666円引き。

実質は36614円でした。

 

少し安くなりましたが、それでもパナソニックなどの他社のドライヤーの倍します。

これを高いとするか、安いとするか。

娘や息子、さらに自分も使うことを考えて、家族みんなが使って楽しめるなら、買おうと決断しました。

 

さて、届いたのがこれです。

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中身はこんな様子。iphoneのような高級感があります。これだけで値段相応な感じがします。

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使ってみて、音はうるさく感じません。ジェット機のエンジンのようなキーンという高周波?な音。耳障りではありません。

 

持った感じは少し重さがあります。持ち手の先端が吸入口なので、そこをつかまないように本体寄りを持ちます。

 

風量が豊富で、中年オヤジの私は髪の毛が飛んでいかないか心配になりました。(話盛っています)

すぐに乾きました。それでいて熱くない。これがダイソンのテクノロジーかと納得しました。

 

詳しいレポートは、ネット上にたくさんあるようなので、そちらを参考にしてください。

なによりもよかったことは、妻の誕生日にプレゼントを続けて、

 

30年間で初めて妻が笑顔になったことです。

これ以上の効果はありません。

高い出費でしたが、満足のいくプレゼントでした。

 

話題のマンガ「うつヌケ」の作者がうつから抜け出すきっかけになった本  自分の「うつ」を治した精神科医の方法 を読んでみました

 

自分の「うつ」を治した精神科医の方法

宮島賢也  KAWADE夢新書

 

 

「うつヌケ」が大変興味深い内容だったので、その中で紹介されていたこの本を読んでみました。

参考になる点が多くありました。

いくつかを紹介します。

 

三章
僕は「考え方」を変えてうつを克服した

 

引用します。

 

うつになる人、ならない人、どこに違いがあるのでしょうか。その最大の違いは、考え方にあります。うつになる人は、「うつになるような考え方」をしています。一方、逆境に置かれても、うつにならない人は、「うつにならないような考え方」の持ち主なのです。
もうすこし、具体的にいいましょう。
うつになる人は、いやなこと、良くないことばかりに目が行き、嬉しいこと、楽しいことに目が向かなくなっていく傾向があります。
いやなこと、よくないこと、ネガティブなことにとらわれ、そういったことばかりを考えていると、当然ですが、気分は落ち込みます。
うつになる人は、いやなことが頭の中を占領し、その結果うつ状態を引き起こしているのです。
また、うつになる人は、自分を責める傾向があります。うつになったことに対しても、「自分が弱いからだ」「自分のせいだ」と、考えがちです。そして、うつになった自分を嫌悪します。

 

 

 

この部分を読んで、「いやなこと、良くないことばかり」に目が行き、「嬉しいこと、楽しいことに目が向かなくなっていく」傾向が自分にもあると気づきました。

気分の落ち込みが起こると、なかなか切り替えができずに、ズルズルと引きずってしまう。

嬉しいことや楽しいことを考える時間がとても短いのにも気づきました。

自分の憂鬱傾向は、思考のクセのようなものだということがわかりました。

 

引用します。

 仕事に関しては、たとえ好きな仕事であっても、義務感で行えば、心が苦しくなることがあります。だから、好きで飛び込んだ業界の仕事に就くことができ、頑張って結果を出し続けたけれど、その果てにうつになってしまう人もいます。 

しかし、目標がしっかり定まっているとき、うつにはなりません。
また、仕事にやりがいやゲーム性を見つけて楽しんでいる人は、うつにならないし、仕事ですばらしい成果を上げています。

 

仕事をすることに、なんとも言えない重さ、しんどさを感じる時があります。

私の仕事は、ある程度は自分の学んだ文学や国語知識を生かせるものですが、それでも苦しく感じることはあります。

ゲーム感覚で楽しく仕事をする境地にはなっていません。

自分の仕事にどのような価値を見出すか、考えてみることが必要です。

 

マウンテンバイク CENTURION バックファイヤー PRO 400.27 購入しました 自転車ライフが始まる

 

マウンテンバイクを購入しました。

転勤して職場が近くなって自転車通勤をしたくなったのと、以前に乗っていたクロスバイクを息子がアルバイトの通勤に使うのに譲ったためです。といいつつ、本当は、新しい自転車がほしかったのです。

 

近所の自転車店店主に、マウンテンバイクの試乗を勧められ、乗ってみると軽くて乗り心地がよい。

最近は27インチのタイヤが主流になっているそうです。26インチは少し小さいなと思っていたので、新しいマウンテンバイクが欲しくなってきてネットでいろいろ調べてみました。

 

油圧式ディスクブレーキ、フロントサスペンション、太めのタイヤ、フレームサイズも大きめ、10万円程度の予算で探します。

クロモリという鉄製のフレームのものを探しましたが、予算が合わず、アルミのフレームで探します。

すると、ネットの記事で、コスパがよい自転車として紹介されていたのが、これです。

 

CenturionバックファイヤーPRO 400.27

 

(現在は、なんと15000円も安くなっている!ショックです。)

 

思い切って10万少しで注文して、10日ほどして大きな段ボールに入って届きました。

 

玄関までしか入らず、家族が帰ってくる前に、早めに仕事を終えて帰宅し、箱をばらすことにしました。

 

この作業が狭いところでやるので大変でした。

ダンボールをカッターナイフで切り取り、少しずつ取り除き、やっと自転車だけにします。

ベランダまで運び、保管しました。

 

完成車で送られてきましたが、ハンドルだけは自分で工具で締めます。これが大変なことになろうとは。

 

次の休みの日に自転車店に乗っていき、店主に見てもらいました。

その時に前輪を反対向きにしてハンドルを固定していたことがわかりました。

どうりでブレーキや変速機のケーブルが変な感じだったことです。調整してもらい、ライトとテールライトを購入しました。

 

通販は楽ですが、最終の微調整はちゃんとプロにお願いをしたほうがよいと思いました。

 

今日は近所の河川敷に走りに行きました。天気も良く、ロードバイクなども走っています。

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舗装路を外れて、草地や砂地を走ってみると楽しい。マウンテンバイクならではです。タイヤがかなり太いので、舗装路ではクロスバイクほどには快適ではありませんが、どこでも走れる感が半端なく良いです。

 

災害で交通事情が悪くなった時、大いに活躍するでしょう。そんな安心感もあります。

 

阪神淡路大震災の時には、舗装路はヒビだらけ、割れ目や段差がひどかった。車は大渋滞。私は古い原付を直してもらってそれで通勤していました。

 

南海トラフ地震が来ないことを願いますが、いざというときにはこいつで活動だ。

 

マンションの駐輪場の器具には、タイヤ幅が太すぎて入らなかったので、指示されたスペースに駐輪です。

盗難が心配なので、極太ワイヤーとU字ロックを掛けました。

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自転車ライフが始まります。

 

化石採集 上勝町 徳島県

 

 

 

化石採集 上勝町 徳島県

 

勝浦町で化石を探したあと、さらに山深い上勝町へ向かいました。


彩りビジネスで有名な町で、全国からたくさんの視察が来る地です。

http://www.kamikatsu.jp/kankou/


正木ダムを通り、さらに進むと、人家の多い地域があります。

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そこで駐車して勝浦川の河床に降りる階段を下ると、泥岩が露出した箇所がありました。


表面を観察しても、化石は見つかりません。ところが、岩の上に散らばっている破片を手に取ると、小さい貝の化石がいくつか入っていました。

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先行者が割って捨てていったものでしょう。「なんぼでもあるやん」とうれしく思って、探してみました。

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中には数センチの大きさの貝化石が入ったものありました。

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車に母を残していたので、5分ほどで切り上げました。


雨が降って水かさが増すとこれらの化石は流されてしまいます。


次回は、ハンマーとタガネを持って、じっくり探してみたいポイントでした。

 

5万円以下のノートパソコンを購入しました

 

ノートパソコンを購入しました。ブログを書くためと、データベースソフトのACCESSを使いたかったためです。


AMAZONがタイムセールをしており、みているとDELLのノートパソコンが安そうだったので、検討してみました。


予算は5万円以下。持ち運びしやすく、使い勝手のいいものが条件です。

Microsoft Officeは、昨年購入済みだったので、Officeなしのモデルを選びました。みなさんの感想などを参考にして決めたのがこれです。

 

Dell ノートパソコン Inspiron 11 Pentiumモデル ホワイト

17Q32W/Windows10/11.6インチ/4GB/128GB https://www.amazon.co.jp/dp/B01KZLB6QK/ref=cm_sw_r_cp_api_nRc.ybF31M7KB

 


購入時は、43520円でした。

大きめのアマゾンの箱で届きました。

 

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 開けるとDELLの箱が。

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丁寧に梱包されています。
出してみると、つやのあるホワイトで、安物ぽくはなかったです。

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WIFIの設定はすごく簡単でした。続いてOfficeをダワンロードします。
これは20分ぐらいかかりました。
この時に、マイクロソフトアカウントというものを要求されます。これをどこにメモしていたかを探すのに手間取りました。普段使いませんから、必要となると困ります。iphoneのメモに残っていました。


DROPBOX,EVERNOTE,GOOGLE DRIVEと、思いつくところすべてに保管しておきました。


IDやパスワードは、管理が大変ですね。このあたりを楽にできる方法はないのでしょうか。

 

使ってみての印象は、キーはやや堅めで打ちやすく、大きさも適切です。


液晶は普通、特に見にくいとか、美しすぎるとかは感じませんでした。
シンプルな道具感が強いです。

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一点だけ気になることがありました。
液晶を開くと、重さで本体(キーボード側)が浮き上がり、不安定になります。キーを打つときに、手元側が浮いていてガタガタするのです。これは気になります。打つときに両手で押さえるようにすればよいのですが、離すとガクガクします。


学校の机の脚が浮いて、ノートを書くときに天板が動くあの嫌な感じに似ています。


まあ慣れればすむことですが。
それ以外は満足です。価格も手ごろだったので、よい買い物をしたと思いました。

 

追記
タッチパッドが慣れていないので、マウスを買いました。
本体の色に合わせました。
快適です。f:id:bluesoyaji:20170423133549j:image

 

古典三千冊の読書で初めて文学について発言できる

 

大西巨人 「いつもそばに、本が」 朝日新聞 2001年2月4日

 

4月から転勤で、荷物の整理をしていると、クリアファイルに挟まれて新聞記事のコピーが3枚出てきた。


1枚目は、大西巨人の横顔写真と「古典千冊3回読め」と菊池寛 という見出し。

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記事内容は、大西巨人が福岡高校時代(1930年代中頃)、学校の講堂で聞いた菊池寛の講話の紹介である。

 

「諸君が、文学について何かを語ろうと思ったら、まず極め付きの古典を千冊、一冊を三回、読め。すると、諸君は、極め付きの古典三千冊を読んだことになる。そこで初めて、諸君は、文学について発言することができる。」と言った。菊池寛のこの言葉を、私は、感動して(実践的に)肝に銘じた。

 

さらに、大西巨人は、指導教官であった秋山教授の言葉、「人は、二十五歳までに、良書を言わば『濫読』して、まともな読書の習慣をしっかり身に付けるべきである」を「感動して(実践的に)肝に銘じた」と書いている。

 

菊池寛の「極め付きの古典三千冊」を読んで初めて、文学について発言できるという言葉は、たしかにそうであろうと納得できる。

 

しかし、自分が実践できるかと言えば、それは現実的ではない、不可能な数字ではないだろうかと思ってしまう。


この弱気なり、そこまでしなくてもという甘えなりが、現在の自分を作っていることに思い当たる。

 

楽器のマスターなど、その道の上達のためには、少なくとも一万時間の練習が必要といわれる。一日に三時間練習して、十年間で一万時間を超えることになる。

 

三千冊の古典読書も、一日三時間で一冊読むとして、一年で三百冊少々、三千冊には十年近くかかる。

 

どちらにしろ、気の遠くなるような努力とその持続が必要だ。


自分には無理だと思う人が多いのではないか。

 

そこで見方を変えてみよう。
菊池寛のこの言葉はキャッチコピーであり、頑張れよという励ましだととらえてみてはどうだろうか。

 

菊池寛は、文芸春秋社を作るほどの人である。ある意味、アイデアも優れていたはずだ。青年を叱咤激励するため、この三千冊の読書というわかりやすいキャッチコピーを示したと見ることができないだろうか。

 

まずは、自分のやりたいこと、目指していることに、大いに力を注げよ、そのように薦めていると考えよう。


三千冊の古典読書を文字通り実践できるのは、大西巨人レベルの奇才のみなのだから。

 

神山町の枝垂れ桜が美しかった

 

 

4月1日、徳島県神山町の枝垂れ桜を見に行きました。

 

県道沿いは、残念ながらつぼみでした。

 

道の駅もまだ咲いていませんでした。

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明王寺に初めて行ってみました。

 

狭い道の奥に臨時駐車場があり、そこから少し登ります。

 

屋台が出ていて、桜祭りの雰囲気が味わえます。

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まだ満開ではなかったので、混雑もなくて、のんびり、ゆっくりと見学できました。

遠くの山は積雪しています。岳人の森もまだ雪の中かなと思いながら、歩くとお寺に着きました。

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イベントをやっていて、音楽演奏がいい感じでした。

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辺りを散策して、無人販売でレモンと梅干しを購入しました。

満開は来週ごろでしょうか。

その時は人出も多く混雑しそうなので、

かえって今日の方がよく見えたと満足して帰りました。

神山町は素敵な所です。ぜひ一度行ってみてください。

 

年度末の片付けが大変でした

 

年度末、皆さん、片付けで消耗していませんか?

転勤のための職場の片付けが大変だったので、記録しておくことにします。

二箇所の机と物置部屋合計3箇所を二日間で片付けようとしたが、無理だった。

その理由1つは、紙の書類の処理が膨大だったこと。個人情報満載の書類とそのまま捨てても良い書類とを分別し、シュレッダーにかける手間が大変だった。

ファイルに閉じて大事に保管していたが、ほとんどの書類は二度見ることがなかったので、役にたたないうえに、保管の負担が増えただけだった。

2つ目は、仕事に使うだろうと思ってため込んでいた書籍の片付けが大変だったこと。

少なくとも4年間は全く使っていない、再読もしなかった書籍が段ボールに6箱分あり、保管しているだけで何の役にも立たなかったことがわかった。
必要なものを半分に絞り、4月以降にまた引き取りにくるまで少しの間、職場に置かせてもらうことにした。
今後購入する本は電子書籍に絞るべきかもしれない。

3つ目は、仕事で使っていたパソコンに個人情報が残っていて、削除に手間がかかったこと。

自前でインストールしていたソフトをアンインストールするのに時間がかかった。
パソコン利用の自由度が高いことがアダになった。

EvernoteやDropboxなどのソフトをアンインストールして、メールのアカウントも削除をする。
普段は便利だが、転勤となると手間がかかる。

これからは、半年か三か月に一度は、大掃除をして、身辺を身軽にしておこう。

生産性のない仕事に疲れ果ててしまった。

まずは紙の書類をスキャナでデジタルデータにして、紙は捨てる方法に取り組みたい。

気になった言葉 「滅びるね」「はっきり言うのは、駄目なんです」最近の読書より

 

青空文庫 『三四郎』夏目漱石

 http://www.aozora.gr.jp/cards/000148/files/794_14946.html

 

―あなたは東京がはじめてなら、まだ富士山を見たことがないでしょう。今に見えるから御覧なさい。あれが日本一の名物だ。あれよりほかに自慢するものは何もない。ところがその富士山は天然自然に昔からあったものなんだからしかたがない。我々がこしらえたものじゃない」と言ってまたにやにや笑っている。三四郎は日露戦争以後こんな人間に出会うとは思いもよらなかった。どうも日本人じゃないような気がする。
「しかしこれからは日本もだんだん発展するでしょう」と弁護した。すると、かの男は、すましたもので、
「滅びるね」と言った。

 

この部分について言及されているのが、次の文章です。引用します。

 

「漱石のことば」姜尚中 集英社新書

 

「三四郎」の中で、東京帝国大学に受かった三四郎が、熊本から上京する汽車の中で教師の広田先生に出会う場面があります。時は明治四〇年頃。日露戦争の戦勝によって、世の人はみな、これで日本も一等国へ仲間入りしたと自惚れムードに浸っています。そんな様子を斜に見て、先生はこう言い放ちます。「滅びるね」
三四郎は日本人ではない者に出会った気がして、仰天します。
当時の日本は欧米列強に追いつけ追い越せで近代化への道を突っ走っていました。が、漱石はそのありようを疑問の目で眺めていました。広田先生は漱石の分身的な人物であり、つまり、彼は漱石の気持ちを代わりに語っているのです。

 

 

明治以降、近代化へ突っ走る日本の行き着く先を予見していた漱石の鋭い批評として、発せられた言葉。


その予見が三六年後、日本の敗戦となって的中しました。優れた作家の時代を見る目はすごいですね。


現代でもこのような発言をすれば、炎上すること間違いなしでしょう。


改めて夏目漱石の知性を認識しました。

 

次は、大西巨人の特集からです。

「大西巨人 抒情と革命」河出書房新社

 

 

この頃の風潮の中でいけないと思うのは、「これだ」と言う主張することがなんとなく憚られるように考えられていること。「俺は、いろいろ検討した結果、こうする。たとえ、『牢屋にぶちこむぞ』と言われても、決意は変わらない」とはっきり言うのは、駄目なんです。歓迎されるのは、「Aと言う考え方はいいが、Bも正しい。Cも悪くない」というよたよたっとした言い方。こういう言い方をすると、「なかなか幅広い考えの持ち主である」と評価される。

 

対談の一部を引用しました。

ネットでもこの種の「よたよたっとした」意見が散見されます。

熟考せず、他人の意見を鵜呑みして、あちこちから引用し続けると、このような「歓迎される」意見の発信者になってしまうのでしょう。

 

私も気をつけます。 

 

『生き心地の良い町』岡 檀著 講談社を読んで考えた

 

 

『生き心地の良い町』
岡檀 講談社

本日、読了しました。偶然、こんなニュースを目にして、考えることがあり、書いておきます。

 

成人の4人に1人が自殺を考えたことがあることが、厚生労働省の調査で分かった。21日に発表された意識調査で、過去に実施した2008年と12年の調査と比べて増加傾向にある。別の統計によると自殺者数は減っているが、厚労省は自殺に陥るリスクは根強いとみて対策を検討する。

朝日新聞デジタルよりhttp://www.asahi.com/sp/articles/ASK3P3QR5K3PUTFK005.html

 

この本で取り上げられた海部町は徳島県海部郡にあります。私が育った市が海部郡と隣接します。

若い頃の感覚で言うと、由岐町、日和佐町、宍喰町は観光や漁業でよく知られているけれど、海部町って何があったっけ?という感じでした。

通り過ぎたことはあっても、海部町に遊びに行ったことはありませんでした。


その海部町が、自殺のもっとも少ない地域として筆者の研究に取り上げられていることに関心を持ち、読んでみました。

著者の考える「自殺予防因子」として、5点が上げられています。
・いろんな人がいてもよい、いろんな人がいたほうがよい
・人物本位主義をつらぬく
・どうせ自分なんて、と考えない
・「病」は市に出せ
・ゆるやかにつながる

 

詳しくは本を読んでもらうとして、ざっくり紹介すると、海部町のコミュニティは、多様性を重視し、年長者が威張らず、政治に参画する人が多く、悩みやトラブルは早めに周囲に相談する、コミュニティの人間関係が固定していないで、人の出入りが容易であるといった特徴を持ちます。


いくつかのエピソードが紹介されているので、それを手がかりにして、これらの特徴を理解することができます。

 

そのルーツは海部町の歴史にあり、江戸時代に多くの移民が流入してできあがったという町の成立事情によるということです。近隣の町との際だった違いは、そこにあるそうです。

 

私が育った町も海部町と同様、海沿いの港町で、漁師もいて、人口の密集した町内がありました。


おおらか、のんびり、気前がよいといった気風はありましたが、海部町のような、人間が「賢い」という印象は感じません。やはり、海部町には独特のものがあるのでしょう。ちょっと住んでみたい気持ちになりました。

 

自殺やうつの原因を取り除くことは不可能だけど、自殺を予防する因子を見つけて、それを強化することで自殺やうつを減らしたり防いだりすることはできると思います。本書は大いにその参考となります。

 

最近は、若い人のあいだで、田舎暮らしや、田舎へ移住することがブームになりつつあるそうです。

でも、田舎といっても、海部町のような自殺の最少地域もあれば、自殺発生率の高い地域もあります。

もし、その地の特徴をよく知らずに移住してしまうと、地域にとけ込めず、転住を余儀なくされるでしょう。


その地域の気風、コミュニティの結びつきのありよう、人心、価値観などをできるだけ調べて理解した上で、田舎に移住する必要がありそうです。


そういう意味でも、本書は移住を考えている若者にも参考になります。

 

生き心地の良い町 この自殺率の低さには理由(わけ)がある