bluesoyaji’s blog

定年後の趣味、大学入試問題の分析、国語の勉強方法、化石採集、鉱物採集、文学、読書、音楽など。高校生や受験生のみなさん、シニア世代で趣味をお探しのみなさんのお役に立てばうれしいです。

国公立大学二次試験 静岡大学 大学入試問題 「街場の憂国論」内田樹 2015年 人文社会学部

 

静岡大学 2015年 人文社会学部(言語文科学科)
「街場の憂国論」内田樹

河合塾のサイトで読めます

http://kaisoku.kawai-juku.ac.jp/nyushi/honshi/15/si1.html

 

現代文としていますが、「問三 あなたはどのような情報社会が望ましいと考えていますか。また、それを実現するためにはどうすればいいと考えますか。」とあるとおり、小論文問題です。


要旨をまとめてみました


情報格差の拡大

「情報貴族」階層ー良質の情報を選択的に豊かに享受
「情報難民」階層ー良質な情報とジャンクな情報が区別できない


「情報の無政府状態」出現の予感

「情報平等主義」

  日本ー全国紙ー情報資源の分配 「一億総中流」的
   欧米ー「クオリティペーパー」知識階級のためのもの
「情報平等主義」崩れようとしている
 「情報のビッグバン」インターネットの出現
  新聞報道の劣化


「クオリティの高い情報の発信者」「情報価値を適切に判定できる人」ー良質な情報が集積
「情報の良否が判定できないユーザー」ージャンク情報が集積
   |
 話を単純にしたがる→「陰謀史観」に飛びつく=世の中の不幸はそれによって受益している悪の張本人の仕業という解釈
   ↓
  全能感ーマスメディア情報を「嘘」だと退ける→「情報難民」の発生
情報の二極化→権力、財貨、文化資本の分配に反映→階層社会の出現
「情報平等社会」に戻す→新聞が責務を担う

 
本文は読み取りやすい内容なので、難しくはありません。自分の考えをきちんと表現できるように、小論文対策をしておきましょう。

また、他の小論文を書くための参考として、この文章を読んでおくと良いでしょう。

 

街場の憂国論 (犀の教室)

小論文の対策にお勧めです。

 

田村のやさしく語る小論文―代々木ゼミ方式 

   

 

浪人生活のメリットとデメリットを考えてみました

 

浪人を考えている人、その保護者の方へ
進路担当の高校教師がアドバイスします

もう一年受験勉強をしようかと浪人を考えている人に、浪人することのメリットとデメリットをあげてみました。


私自身、浪人生でした。教師になり進路を担当して、大勢の高校生を見てきました。その経験からアドバイスをします。
少しでも参考になればと思います。

 

メリット
・第一志望校に行ける
・自分のやりたいことに近づける(大卒資格の必要な職業など)
・受験勉強を思いっきりできる
・挫折を経験し、それを乗り越えることでメンタルが鍛えられる

 

デメリット
・大変そうで不安がある
・1年遅れる
・お金がかかる
・どこにも所属していない宙ぶらり感がある

などです。


迷っているかたは、当てはまる項目が一つでもありましたか?

 

メリットから補足していきます。


第一志望校に行けるですが、ちゃんと一年間、受験勉強に励めば、だいたい受かっています。
普通の受験生が、一年間、普通に浪人生活をすれば、成績はぐっと上がります。
もし第一志望に受からなくても、他の合格校で納得できることも多いです。
例外は、極端に自分と目標校の学力差があり、競争率が高い大学の場合です。当然うまくいかないこともあります。

 

医者や教師、官僚、弁護士、研究職など、制度として大学卒の資格が必要な職業を目指している人は、まずは大学に入ることです。
浪人しなければ他に道はありません。もう一年頑張ればいいだけです。

 

現役生だった人は、高校に通わなくてよくなる分、受験勉強に集中できます。高校生の時よりも、圧倒的に家庭学習の時間が増えます。
自分の計画で、自分のペースで勉強できる自由さは、浪人の特権です。思いっきり勉強しましょう。

 

大学受験での失敗は、これまでの人生の中で体験する初めての大きな挫折かもしれません。今までは、親や学校に守られて、レールの上を走ってきたのです。挫折経験もほとんどなかったでしょう。


これからは、自分で考え、行動していかなければなりません。浪人生活を通して、挫折を乗り越え、困難に打ち勝つことで大きく自信もつくし、自分を見つめ、改革することもできます。一回りも二回りも人間的に成長できる。こんなチャンスは、現役で合格した人よりも浪人する人のほうが生かせます。

AOや指定校推薦で比較的楽に合格した人は、浪人生の苦労を体験できません。そんな人は、就活の時に初めて挫折を体験することになるのです。浪人生活はマイナスのようで、実はプラス面が多いのです。


浪人生活で、頭脳だけでなく、メンタルも鍛えられます。

 

デメリットについて、補足します。


まず大変そうで不安ということですが、誰しもそう感じるでしょう。初めての経験だからです。様子が分かれば、心配しなくてもすぐに慣れます。
予備校や塾の説明会に行って、浪人することをしっかり相談してみてください。熱心に相談に乗ってくれないところはやめておいたほうがいいでしょう。
詳しい説明を聞けば、不安は解消されます。保護者の方と一緒に行きましょう。


一年遅れることですが、若い時の一年や二年の遅れなんて、なんのマイナスもありません。いくらでも取り戻せます。働き出すのが少し遅れるだけ。仕事をしだしたら、全く関係ありません。心配無用です。


お金がかかることについて、予備校代、塾の費用、参考書代、交通費など、たしかに必要となります。まずは、保護者を説得して応援してもらいましょう。
子供の真剣なお願いに親は心を動かされるものです。ただし、どうしても経済的に厳しいといわれた場合、宅浪になりますが、お小遣いをためるか、これだけは保護者にお願いして、夏期講習や冬期講習、模試などは、絶対に受けておきましょう。


それも厳しい場合は、リクルートのスタディサプリで勉強しましょう。一か月1000円程度で、講義動画が見放題です。こんな格安な勉強手段はほかにありません。圧倒的なコストパフォーマンスです。私も利用しているので、間違いありません。関先生の英語なんて最高に面白いです。これだけでもお金を払う価値ありです。

スマホの料金に毎月1万円近く払っている人は、格安スマホに変更して、浮かした料金でスタディサプリをやりましょう。


今までは、小中高と学校という組織に所属し、社会的にも生徒という立場で守られてきました。浪人すると、何者でもなくなります。その中途半端さがなんとも宙ぶらりで、心もとない感じがするのですが、すぐに慣れます。


長い人生で、どの組織にも所属していない期間が一年間ぐらいあっても、大丈夫です。心配な人は、河合塾など大手予備校に入れば、学生証を発行してくれます。少しは安心が得られるかもしれません。学割も使えます。

 

こう見てくると、メリットはともかく、デメリットも考えようではメリットになることがわかります。

 

最後に浪人生活を成功させる注意点をいくつかあげます。

 

・必ず、予備校か塾へ行く(無理ならスタディサプリ)
・バイトはしない(どうしても必要な人は期間限定で)
・恋愛は合格してから
・友達づきあいは、お休みする(無理な誘いは断る)
・保護者の応援を確保しておく
・相談できる大人を持つ(予備校のチューター、塾の先生、出身高校の教師)

 

私の子供も一年間浪人生活を送りました。教師の立場だけでなく、保護者の立場も経験しています。
少しでも参考になれば幸いです。

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国公立大学二次試験 東京大学 藤原新也 「ある風来猫の短い生涯について」2015年 大学入試 前期 文科

 

若い頃、よく読んだ藤原新也が東京大学の入学試験に出題されていたので、久しぶりに読んでみました。

 

2015年 東京大学 前期 文科

藤原新也 「ある風来猫の短い生涯について」

 

河合塾のサイトで読めます

http://kaisoku.kawai-juku.ac.jp/nyushi/honshi/15/t01.html

 

 

「東京漂流」を読み、その魅力に取り憑かれたように、藤原新也の本を読んでいました。

 

写真家であり、文筆家でもあった著者は、当時の私のあこがれの存在でした。

 

的確で、淡々とした描写なのに、なんとも言えないおどろおどろしいものが立ち上がってくる、そんな文章に魅了されました。

 

東大に出題された文章は、初めて読むものです。

病気の猫をめぐる話は、やはりかつてと同じ印象を受けました。

 

病気の猫が慈悲の心を与えてくれたという発想が、現代人にはわかりにくいものかもしれません。

 

出題者は、この文章を読ませることで、どんなねらいがあったのでしょうか。
若い頃、藤原新也をよく読んだ自分の気持ちを思い出しながら考えてみます。

 

読んだことのある本です。どれもお勧めです。

 

東京漂流 (朝日文庫) 

 

 

コスモスの影にはいつも誰かが隠れている (河出文庫) 


映し世のうしろ姿 

 

丸亀日記 

 

メメント・モリ 

 

 

国公立大学二次試験 山本周五郎の小説が金沢大学の入試に出題されていたので読んでみた 2017年 金沢大学 人間社会学域 国語

 

2017年 金沢大学 人間社会学域 入学試験問題 国語

「民衆という幻像」渡辺京二 筑摩書房

 

山本周五郎の小説を取り上げ、義理を論じた文章。周五郎を題材にする評論は珍しいので、読んでみました。

 

 http://nyushi.nikkei.co.jp/honshi/17/kn1-31p.pdf

 

問題文の要旨

 

周五郎の小説の登場人物は、習俗としての義理人情に鋭い嫌悪と反発
「釣忍」の定次郎、おはん
義理人情的習俗にからまれて心にもない生きかたをしなければならないのがいや
 |
「信頼に対する呼応」
おはんの好意と信頼に応える定次郎ー習俗的規範としての義理よりも本質的なまもるべき義理
民衆ー人と人とのあいだに本質的な人倫の意味を保証する最低限の好意的基準

誠、実、心中立て
「柳橋物語」
 |
民衆が抱きつづけてきた義理という夢の実体を明らかにしている
義理とはー自分の存在の根拠が深いところで照らし出されるとき成立する感覚
ある普遍的なものの触知感
 |
人生の功利的要素を拒否し、切り捨てることによってしか成立しない
義理は何に向けられるのか→あくまで特定の人間=つねにだれかへの義理、個別主義の立場に立つ倫理
 |
人と人とのあいだに成立する主情的な感覚=人間の共同性
普遍的なものー自他の共同性ー見果てぬ夢
人間の共同的な基礎の不在という事実→義理人情=幻の形ーメルヘン

 

 

最後の段落で、論理が飛躍している。
いきなり、義理人情は共同性への見果てぬ夢だという事実であると断定している。続いて共同的な基礎の不在という事実と繰り返す。

入試問題なので、文章の切り取られた方によって読みが変わってしまうことがある。

 

著者は、山本周五郎の小説を素材として、そこから思想なり、日本人の特質なりを抽出し分析している。


本来、小説は文芸作品として鑑賞するものだ。

 

小説をどう読むかは読者にゆだねられるが、周五郎の作品を客観的に、一つの完結した世界として読むべきであろう。

 

 


民衆という幻像: 渡辺京二コレクション2 民衆論 (渡辺京二コレクション(全2巻)) 

 

山本周五郎の作品のおすすめです。

 

柳橋物語・むかしも今も (新潮文庫) 

 

さぶ (新潮文庫)  

 

小説日本婦道記 (新潮文庫) 

 

青べか物語 (新潮文庫)  

 未読ですが、面白そう

 

山本周五郎で生きる悦びを知る (PHP新書) 

 

受験生と企業の人事担当者は、これを見よ!本当の大学ブランド力ランキングはこれだ!

 

日経BPコンサルティング

「大学ブランド・イメージ調査 2016-2017 近畿編」

 

対象大学は主要66校、調査期間は2016年8月1~31日、有効回答はビジネスパーソン4,291人

 

近畿地方の主要大学における「大学ブランド力」ランキング

http://news.mynavi.jp/news/2016/11/30/425/

 

このランキングは、高校でのイメージとは異なる部分がかなりあります。

 

あくまで私見ですが、高校で10年以上進路指導の仕事に携わっている経験から、何点か述べたいと思います。

 

まずは上位について、
1位 京都大学、2位 大阪大学、これは間違いないです。しかし、3位は神戸大学と思います。神戸大が6位とはありえません。

 

大阪も兵庫も、学力の高い受験生は、京大、阪大、神大の順で受験先を選びます。


学力上位の受験生にとって、同志社大は、あくまで併願校です。
滑り止め、あるいは国公立の二次試験対策で、記述がある同志社の入試を、慣れのために受ける。そういうことが多く行われています。
だからそんな受験生は、同志社大学に合格しても、入学しません。合格者のうち、入学の手続きをした率を見れば分かります。


では同志社大は、4位かと言えば、それも違います。5位です。
4位は大阪市立大学でしょう。学力上位の受験生にとって、京大、阪大が届かなければ、神戸大か、大阪市大かなのです。


大阪市立大学には、京都大、大阪大を目指していた学生が大勢います。残念ながら第一志望は受からなかった、でも、当然、学生の能力は非常に高いです。
大阪市大が9位なんて、ありえません。

 

私大の人気で言うと、同志社大、立命館大、関西大、近畿大、関西学院大の順が妥当でしょう。


同志社大は関関同立の中で、やはり頭一つ抜け出しています。


近畿大は、今年も全国一、受験生を集めました。圧倒的人気ですが、関西大と近畿大の両方に合格した場合、関西大を選ぶ人が多いのが現状です。


関西学院大学は、かつての人気に陰りがあり、近畿大のような勢いが感じられません。大阪の受験生には関西大の方が人気です。

 

その他に私大では、大阪経済大学が20位までに入るべき大学としてあげられます。立地の良さ、近大より少し入りやすいというポジションで受験生の人気が高いです。今や近畿大学は、関関同立に合格する学力がないと受かりません。

大経大は学費が安いことでも人気があります。

 

同志社女子大、奈良女子大、武庫川女子大の順位も低すぎて、実態を反映していません。


学力で言えば、奈良女子大は、大阪市大と変わらないです。同志社女子大も、関関同立クラスと変わらない。武庫川女子大も人気が高いです。


女子大の順位に関しては、日経BPの調査対象が男性サラリーマン中心だったので、女子大のことがわからず、このような結果になったのではないかと考えられます。

整理すると、こうなります。


1位 京都大学
2位 大阪大学
3位 神戸大学
4位 大阪市立大学
5位 同志社大学
6位 奈良女子大学
7位 大阪府立大学
8位 立命館大学
9位 関西大学
10位 近畿大学

 

企業の人事担当者が、日経のランキングを見て、万が一にも、うのみにされると困りますので、この順位を参考にしてください。

 

サン=テグジュペリの最期について書かれた本 「星の王子さまが眠る海」を紹介します

 

国立大学の医学部入試にも出題された「夜間飛行」

その作者のサン=テグジュペリは、第二次世界大戦中の1944年7月31日、偵察機で任務に出撃し、帰りませんでした。


その死は謎のままで、ドイツ軍の戦闘機に撃墜された、故障のため墜落した、急病のせいだなど、諸説があります。


「星の王子さま」は、故郷の星に帰るため、自分を毒ヘビに咬ませます。衝撃的な死ですが、作者の死は、それ以上の衝撃です。
長い間、サン=テグジュペリの最期は謎でしたが、この本では、謎の一部が解明されます。


サン=テグジュペリは、星の王子さまになったのではなく、確実に死んでいたという事実が判明します。彼のファンとしては認めたくない事実です。


ブレスレットの発見とそれに続く搭乗機の確認。
次々と判明する事実に、読んでいて興奮します。

 

サン=テグジュペリを知らなかった人は、まずはこれから読むことをお勧めします。
有名な作品のわりに、意外と読んでいない人が多い名著です。

 

星の王子さま (新潮文庫) https://www.amazon.co.jp/dp/4102122044/ref=cm_sw_r_cp_api_G.8XybHQCFRW0

 

サン=テグジュペリをより詳しく知りたい人は、これをお勧めします。

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星の王子さまの眠る海
ソニーマガジンズ
http://amzn.to/2q1QhhQ

近畿大学の入試問題がニュースになっていたので、考えた

 

 

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近畿大学の17年度入試問題が波紋

安倍政権を痛烈に批判 - ライブドアニュース
http://news.livedoor.com/lite/article_detail/12792090/

 

近畿大学が安倍政権を批判した文章を入試問題に出題したとして騒がれているそうです。

 

私はまだ問題を見ていないので、詳しいことはわかりませんが、いくつか考えたことを書きます。

 

近畿大学は、はっきりしたことを大事にしていると思います。

 

評論文で、何を言いたいのか、さっぱりわからないような文章を平気で出題する大学がある中、近畿大学は、読めば理解できる文章を選んでいるということ。

 

安倍政権を批判した内容だからけしからんではないのです。右や左は関係なし。

 

読んでもわからないような文章を出さずに、ちゃんと読めば、読み取れるものを出題する。受験生に対して、誠実な態度だと言えます。

 

また、こんなのを出題すれば、時の政権から睨まれて不利益をこうむる、なんて近畿大学は考えていません。おそらくですが。

 

何と言っても、今年も日本で一番たくさんの受験生を集めたのが近畿大学です。

 

圧倒的に受験生から支持されているのです。

 

補助金を削除なんて、心配しなくてもいいんです。

文科省の人が忖度して…など怖くないのです。

 

2016年の大学入試で、東京大学と大阪大学が「反知性主義」を批判した文章を出題しました。おそらく近畿大学の問題作成委員の先生は、これを読んでいたと思います。

 

東京大学と大阪大学は、さすがに安倍政権とは書いていない。でも、近畿大学は、はっきりとわかる文章を出題した、それだけです。

 

近畿大学は、マグロ大学と呼ばれることがありますが、関西では、受験生あこがれの大学なのです。

 

東京の人は、その辺がちょっとわかりにくいかもしれません。

関西ではトップレベルの関関同立を合格するくらいの高い学力がないと合格できません。

 

今回の出題は、話題性も含めて、近畿大学の狙いがあるのは間違いないでしょう。

 

近畿大学、いや、関西人のパワーおそるべしです。

 

 

化石採集 徳島県上勝町で貝の化石を見つけました

 

 


徳島県上勝町で化石採集しました。

 

参考にしたのは、徳島県 地学のガイド コロナ社

 

徳島県 地学のガイド―徳島県の地質とそのおいたち (地学のガイドシリーズ) 

掲載されている上勝町の正木ダムコースと月ヶ谷コースに行ってみました。

 

月ヶ谷コースは、蛇紋岩の路頭を通り、せまい林道をひたすら車で上っていきました。途中で本に紹介されているポイントを探索しましたが、化石は全く発見できません。

とうとう月ヶ谷の集落の手前まで行きました。林道沿いの崖は泥岩がありますが、化石は見つかりません。

あきらめて引き返しました。


本の出版が2001年なので、情報としてはもう古いのでしょう。でも現地は山深くて誰とも会わず、自然を満喫できました。

 

次に、正木ダムコースへ行きました。ここは以前にも来ましたが、ダム沿いの道では全く化石を見ることができません。

地学ガイドには、たくさんの採集ポイントが紹介されていますが、残念です。

 

次に、柳谷集落を目指して、山を登っていきます。道は舗装されていて車でも通りやすいです。川沿いに停めて、転石を見ながら進みます。集落の途中で、これ以上は化石採集地はないと判断して引き返します。


最後に見てみた川の転石に貝の化石がありました。ハンマーで割ってみると、大きめの貝化石が入っていました。やれやれ、やっと見つけてほっとしました。

 

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20cmほどの石を割ったものです。

 

今回は、残念ながらトリゴニアの化石は見つかりませんでした。
いつかは上勝町の名物、トリゴニア化石を見つけたいです。

 

ネットでは化石が見つかる場所の情報がありません。
今度は現地の方に聞いてみようと思います。

 

何度か訪れた上勝町。いろどりビジネスで全国的に有名ですが、自然の景色がたいへん魅力的です。そこに中生代白亜紀の化石が眠っています。

 

 

国公立大学二次試験 山形大学医学部 2015年 大学入試問題 「夜間飛行」サン=テグジュペリ

 

サン=テグジュペリの「夜間飛行」は、1931年にパリで出版された小説である。

 

山形大学医学部の2015年大学入試 国語の問題で「夜間飛行」が出題されたので、考えてみた。

 

なお、問題文は、新潮文庫 堀口大学訳の文章。おそらく著作権の関係でネットには掲載されていない。
私が確認したのは、旺文社 「2016 全国大学入試問題正解」という問題集である。

 

新訳は、光文社古典新訳文庫、二木麻里訳で出ている。

 

夜間飛行 (新潮文庫) 

 

夜間飛行 (光文社古典新訳文庫) 


サン=テグジュペリの生涯 


「サン=テグジュペリの生涯」ステイシー・シフ著 新潮社 より、問題文の参考になる箇所を引用する。

 

一種の叙情性をすっかり捨ててしまうことはできなかったが、「夜間飛行」はそれでもさわやかに引き締まった作品に仕上がっている。作品の広がりという点でも優れ、ヘミングウェイの「老人と海」なみに自然との闘いを描いているのだ。

この作品では、三機の郵便飛行機が暗い夜空を飛んでいる。一機はパタゴニアから北上、一機はチリから東へ、もう一機はパラグアイから南へと、三機ともブエノス・アイレスを目指している。そこでは、ヨーロッパ路線の操縦士が真夜中に東へ飛び立とうと待っていた。だが到着したのは二機だけ。ヨーロッパ便は予定通り出発する。その便に、操縦士もろとも猛烈なサイクロンに巻き込まれたパタゴニアからの郵便物は、積まれていなかった。

 

郵便路線の発達を、厳格そのもののリヴィエールという登場人物ほど注意ぶかく見守ってきた者はいない。リヴィエールの営業主任という肩書きはサン=テグジュペリ自身のそれと同じだが、人物そのものは1931年当時も今もディディエ・ドーラの伝説と重なり合っている。パタゴニアからの郵便とともに死ぬ悲運の飛行士ファビアンではなく、リヴィエールこそがこの小説のヒーローなのだ。

リヴィエールの使命は、彼が考えていたとおり、部下たちを鉄のように鍛えること、訓練すること、自らを克服して郵便輸送というとてつもない仕事に成功するよう仕向けることだった。

 

リヴィエール自身も「私は正しいのだろうか、それとも間違っているのか?まったくわからない。わかっているのは、私が厳しくしていれば、事故が少ないということだけだ」とつぶやいている。

 

この「老いた獅子」はある特別な形の勇気に深い敬意を抱いていた。大工の穏やかな幸せや、鉄床の前の鍛冶屋の勤勉さ、自分の土地がふたたび森におおわれないよう闘う庭師の粘り強さといったものに、何よりも敬服していたのだ。

 

彼の作品の中で、「夜間飛行」ほど巧みに行動と黙想を融合させえたものはない。

 

この物語は、電報や過去の追想、感情の描写といった一種の文学的モンタージュで、そのすべてが見る者に世界を、感情を交えず正確に、カメラが写し取ったような風景としてみせるのだ。より正確には、パイロットの目がとらえる風景である。

 

 

 

問題文は、パタゴニアからの飛行機を操縦するファビアンの機上での思索と、地上で飛行機の到着を待つリヴィエールの想いを描いている。

 

翻訳者、堀口大学の詩的な表現が、読解にやや困難さをもたらしている。

 

リヴィエールは、老職工長ルルーとの会話で、

この老人は、自分の過去の生活に対して、立派な板を一枚みがき上げた指物師の澄んだ満足「これで、仕上がった」というあの尊い気持ちを感じている。

と思う。

 

自分の重い職務に対し、強い責任感を負う人物の心情。これこそ医学者に求められる人間性の一面ではないか。リヴィエールの立場は、たしかに人の命を預かる医者と似ている。

 

山形大学が医学部受験生に、この「夜間飛行」を出題したねらいもそこにあるのだろう。

 

医学部を目指す受験生には、優秀な頭脳や豊富な知識だけでなく、仕事に対するリヴィエールのような態度も求められるのだ。

 

サン=テグジュペリの小説を読み、人生に思いを巡らすような人間性も当然求められているだろう。

 

サン=テグジュペリは1944年7月31日、偵察に出撃、地中海上空で消息を絶った。

 

1998年マルセイユ沖で、サン=テグジュペリの名前が刻まれたブレスレットがトロール船に引き上げられた。

 

2000年、その海域で、サン=テグジュペリ搭乗機が確認され、2003年引き上げられた。

 

 

「星の王子さま」で知られるサン=テグジュペリの「夜間飛行」も、ぜひ一読をお勧めします。

 

 

国公立大学二次試験 2016年 東京大学 文科 前期 大学入試問題 国語 「反知性主義者たちの肖像」内田樹

 

2016年 東京大学 文科 前期 国語

「反知性主義者たちの肖像」内田樹 

 

 河合塾のサイトで見ることができます。

東京大学

http://kaisoku.kawai-juku.ac.jp/nyushi/honshi/16/t01.html

 

反知性主義について、引用を用いながら筆者の考える知性との対比で、その定義を行い、批判した文章です。


対比や具体例を用いた文章なので、丁寧に読みとっていけば、筆者の主張の理解はできます。

あとは設問に対する解答の文章力が求められます。本文の要約や言い換えで、適切な字数に収める訓練が必要です。

 

内田樹先生といえば、西宮にある神戸女学院大学の先生を勤められた方。

最近では、マンガ「うつヌケ」田中圭一 角川書店 にもご自身の体験が取り上げられていて、興味深く拝見しました。

この内田先生の文書を出題したことは、東大生になる受験生に対し、反知性主義者になってはいけないというメッセージが込められているのではないでしょうか。


東大生は将来、為政者や権力者に近いところで働いたり、あるいは、権力を持つ立場になったりすることが多いので、ちゃんと考えていて欲しいというねらいがあると思われます。


「ひたむきな知的情熱」を持つのは、間違いなく東大生が一番ですから。

 

2015年9月には、現政権が「安保法案」を通しています。政権への批判が東大の先生方の中で強かったのだろうと思います。

 

大学入試に世間の動きが関係しないはずがありません。教科の受験勉強ばかりしていると、世間の動きに無関心になり、それこそ「反知性主義者」になる可能性ができてしまいます。

 

せめて東大に入る受験生には、社会の問題に対する鋭い意識を持っていて欲しいという大学教員の願いがあったのだと考えます。

 

この2016年には、東京大学だけでなく、大阪大学でも、「反知性主義、その世界的文脈と日本的特徴」白井聡 という文章が出題されています。

 

阪大もか!と驚きましたが、さらに大阪大学の国語の2問目は、なんと内田樹先生の「街場の戦争論」でした。

 

大阪大学
http://kaisoku.kawai-juku.ac.jp/nyushi/honshi/16/ha1.html


どれだけ「反知性主義」推し?「内田樹」推し!


旧帝大が2校もそろって、これですよ。
受験生なら、この問題は必ず読んでおきましょう。

 

出典を調べてみると、さらにおもしろいことがわかりました。


東大、阪大の「反知性主義」の文章は同じ本からの出題でした。


アマゾンのリンクを張っておくので、興味のある方は一読してみてください。

 

 

日本の反知性主義 (犀の教室)
晶文社
 

目次

反知性主義者たちの肖像 内田樹
反知性主義、その世界的文脈と日本的特徴白井聡
「反知性主義」について書くことが、なんだか「反知性主義」っぽくて
イヤだな、と思ったので、じゃあなにについて書けばいいのだろう、
と思って書いたこと 高橋源一郎
どんな兵器よりも破壊的なもの 赤坂真理
戦後70年の自虐と自慢 平川克美
いま日本で進行している階級的分断について 小田嶋隆
身体を通した直観知を 名越康文×内田樹
体験的「反知性主義」論 想田和弘
科学の進歩にともなう「反知性主義」 仲野徹
「摩擦」の意味──知性的であるということについて 鷲田清一