一つ目の理由は、国が大学教育に金を出さないことです。
子供の貧困問題が深刻ですが、国立大学の授業料も高騰しています。
貧困の連鎖を断ち切る、教育を受ける機会も厳しいのが現状です。
日本総研経営戦略クラスター長・主席研究員の東秀樹氏は「国の政策転換が学費の値上げにつながっている」と指摘する。
そもそも国立大学の運営費は、国の「運営費交付金」がその多くを占める。16年度で約44%だ。この交付金が年々下がっている。「これは04年に国立大学が法人化され、受益者負担へと政策が転換されたからです」(東氏)
国立大学は、高等教育への機会均等を確保するために設置されているが、国の財政が厳しいことから「一定の受益者負担を求めよう」ということだ。実際、法人化された04年度から16年までの12年間で1470億円(11.8%)の交付金が削減されている。削減された分を授業料の値上げで賄ってきた。
二つ目の理由は、大卒であれば生涯賃金が多く、得だから。大学に行きたがる人が多いほど、高い授業料でも支払うからということでしょうか。
■東大と下位大学、生涯賃金で7600万円の差
大企業に就職できないのであれば、大学進学は意味がないとも言える。大学別に年収を見てみるとどうか。転職サービス「DODA」の調査によると、平均年収ランキングのトップ10には難関大学が並ぶ(図表3)。東京大学と下位の大学では年収で200万円近い差が生じている。この差が変わらないとすれば、22歳から60歳までの38年間の生涯賃金では7600万円の差が出る。
「家計に余裕がある場合や給付型の奨学金を獲得し学費負担に無理がない場合には、子どもを大学進学させてもいいでしょうが、家計が厳しい場合には、進学する意味があるか、しっかりと考える必要があるでしょう」(菅原氏)
一部引用なので、詳しくは全文を参考にしてください。
二つ目の理由は、少し論点がはっきりしません。
大学全入の時代といわれ、私学の半数以上が定員割れをしているそうです。
そもそも勉強するのが嫌いな人が、入りやすい入試で合格して、大学教育について行けるのでしょうか。
学びたいことも特になく、就職が少しでもいいなら行くというのでは、得られるものが少ないのではないでしょうか。
これからは、AIやロボットに仕事が奪われるといわれています。
これからの高校生は、誰かが取って代われる仕事でなく、自分しかできない仕事を身につけないと食っていけないのかもしれません。
大学に行くことは、実用的な技能を身につけることが主目的ではなく、新しいことに対応できる基本的な知的能力を身につけることではないでしょうか。
残念ながら、それは今の高校での教育では十分とはいえません。
さらにいろいろな職業に就くための可能性を求めるなら、大学進学は欠かせないでしょう。
それが大学の授業料の高騰で不可能になるとしたら。
将来のこの国の経済や科学や政治など、根幹に関わる人材が育たなくなる。
いわば、未来の先細りが現在進行しているのです。
支給奨学金、授業料の減免、学び直しの機会、学習支援など、あらゆる方面から、支援をしていかないといけないでしょう。