「勉強の哲学 来たるべきバカのために」千葉雅也 文藝春秋
たいへん参考になったので、紹介を兼ねて感想を書きます。
おもしろく読み終えました。しかし、一部難解で私の頭では理解できなかったところもありました。
印象に残った箇所を引用します。
ツッコミ=アイロニーとボケ=ユーモアが、環境から自由になり、外部へと向かうための本質的な思考スキルである。
関西人にはたいへんわかりやすい比喩です。ボケとツッコミが哲学になるなんて驚きです。
「まとも」な本を読むことが、勉強の基本である。
難しげな言い方が出てきても、「そういう言い方をするもんなんだ」と冷静に読んでいくこと。中略 その分野=環境における言い方=考え方のコードを、メタに観察するのです。
そのために重要なのは、自分の実感に引きつけて理解しようとしないこと。「実感に合わないからわからない」では、勉強を進めようがありません。
そもそも、これまでの自分にとって異質な世界観を得ようとしているのだから、実感に合わないことが書いてあって当然なのです。むしろ、「なんでそんなふうに考えるの!?」と気味悪く、時には不快に思うこともあるような考え方を学んでこそ、勉強なのです。
今まではわからないことが出てくるとそこから読書が進まず、投げ出してしまうことがよくありました。
しかし、こだわらずにどんどん読んでいく姿勢が必要だと思いました。
なんとなく読み散らかしているだけでは、自分が考えたことなのか、どこかに書いてあったのかわからなくなってしまいます。そうすると、他人のアイデアと自分のアイデアがごっちゃになり、気づかないうちに、パクリをしてしまうということが起こりかねない。
どこまでが他人が考えたことで、どこからが自分の考えなのかをはっきり区別して意識しなければならない。
中略 何という文献に、文字どおりにどう書いてあったのか、何ページなのかを明確に書き、それと区別して、自分の理解をメモしておく。勉強を続けるというのは、そのように「出典」ー文献の名前とページ数、さらに出版年などーを明記した読書ノートをつけ続けることです。
たくさんの本を読んできたけど、何も頭に残っていないような気がする。これが最近の実感でした。単に読むだけではダメなんですね。
これからは読書ノートをつけることをやっていきたい。
高校生や大学生のみなさん、働いている方、また定年後の学び直しを考えている人など、あらゆる年代におすすめの本です。